脳トレ・川島隆太教授がデータで解説 スマホ使いすぎると「成長期の脳が発達しない」
スマホの使いすぎは学力にも悪影響を及ぼす――。そんなドキッとするような調査結果があることを、ご存じでしょうか。脳機能研究の第一人者であり、スマホと学力との関係を追究している東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授に、最新研究のデータから解説してもらいました。 【写真】元日テレ・桝太一さん、研究者としての日々を語る
「スマホを使いすぎると、せっかく勉強したことが台なしになってしまいます」 脳トレゲームの監修などでもおなじみの川島教授は、そう言い切ります。2010年から仙台市と協力して市内の小中学生の学習意欲に関する調査研究を続けていくなかで、偶然あることに気づきました。 まずは、下のグラフを見てください。「学力検査の成績」と「スマホ*1についてのアンケート回答」をもとに、小学5年生から中学3年生までの「成績」と「平日に勉強以外でスマホを使う時間」との関係をグラフにしたものです*2。成績(縦軸)は、スマホ使用が「1時間未満」の場合が最も高く、使用時間(横軸)が長くなるほど低くなっているのがわかります。 *1 アンケートではインターネット接続できる機器全般について聞いていますが、実際は大半がスマホのため「スマホ」としています。 *2 調査時点の仙台市の小中学生のスマホ保有率は、小学5、6年生が約6割、中学生が約7割です。 「スマホを全く使わない子どもよりも、1時間未満の子のほうが成績が良いというのは、自分の意思で使用時間を1時間未満にコントロールできている子が含まれる可能性があると考えています。そこを除けば、スマホを使うほど、学力への悪影響が出ていることがはっきりと読み取れます」(川島教授)
なぜ、スマホを使うほど学力が下がるのでしょうか。 一般的には「勉強時間を確保できていない」「睡眠不足で集中力が下がっている」といった理由が思い浮かびますが、「そのどちらでもありません」と川島教授は断言します。それを裏付けるのが、先ほどの「成績×スマホの使用時間」のデータに「勉強時間」と「睡眠時間」も加え、「スマホの使用時間」ごとに見た次の3つのグラフです。