“美食の激戦区”西麻布に、カウンター8席のみの隠れ家的レストラン〈アルギュロス〉がオープン!
“ガスパチョ”は、コシのある熊本県のそうめん“ゆきやぎ”を用いた和洋折衷の一品。濃厚なキタムラサキウニとツルンとした白神山地のジュンサイを加え、穂紫蘇を散りばめたガスパッチョだ。スイカの酸味と爽やかさもあり、さっぱりとした食後感。
出色の魚料理が北海道の小西鮮魚店から届いた日高産の“時不知”。春から夏にかけての季節外れに北海道で獲れる鮭で、皮をパリッとさせ、身はミキュイ(=半生)に仕上げた。濃厚な椎茸のポタージュや、酸味のあるブールブランソースが相性抜群。
“旬の素材で作る菓子”は、星付きの名店で研鑽を積んできた、シェフパティシエールである白井絢菜さんの渾身のアシェットデセール。右のスプーンにはフレッシュな沖縄マンゴーとパンナコッタが乗せられているので、一口でいただくと、口中が心地よい甘味と酸味に満たされる。左のケーキは、アールグレイ風味のフィナンシェ生地、カラメリゼしたマンゴーとベリーのソース、ホワイトチョコレートとメレンゲで構成。生のマンゴーと火を入れたマンゴーのよいコントラストで、デザート専門店で体験できるような上味だ。
最後の小菓子は4種類。グリオットチェリーのムース、カヌレ・ド・ボルドー、パッションフルーツのマカロン、宇治抹茶のガナッシュと、どれも個性豊か。ある“仕掛け”を通して、サプライズがあった後に登場するので、自分の目を通して体験してもらいたい。
“アルコールペアリング”(1万5000円)もこだわったものばかりだ。 最初のシャンパーニュは王道の“ボランジェ スペシャル・キュヴェ”。複雑さと厚みを兼ね備えた辛口のシャンパーニュで、熟成に由来する香ばしさがたまらない。希少な日本酒“木戸泉 AFS 12”も提供される。自家培養・自然醸造という稀有な醸造法で、シルキーな泡立ち、米の甘味と乳酸発酵由来のジューシーな酸味も感じられる。個性豊かだが、思ったよりも幅広い料理によく合う。“シャトー・クーアン・リュルトン ルージュ 2008”はフランス・ボルドーの赤ワイン。やわらかな果実が感じられながらも、ハーブなどの青い香りのニュアンスも含む。ミディアムボディで、繊細な酸味があるので、肉料理とのよいバランスをとってくれる。 〈アルギュロス〉は、西麻布の交差点にありながらも隠れ家的な装いで、うっかり通り過ぎてしまうほどの慎ましやかな佇まい。入店すると、突如として広々としたカウンターが現れるから、感嘆の声が上がる。 今注目のカウンターガストロノミーなので、デートや記念日にはもちろんのこと、接待や大切な時など、“ここぞ”という時に是非とも予約して。
●アルギュロス(Argyros.) 住所:東京都港区西麻布1-12-6 1F 営業時間:18:00~22:00 ※18:00一斉スタート 定休日:水曜、隔週火曜 TEL:03-6459-2820 ※サービス料込み
文=東龍