“美食の激戦区”西麻布に、カウンター8席のみの隠れ家的レストラン〈アルギュロス〉がオープン!
最初の一品となる“今夜の始まりの一品”はガザミ(=渡り蟹)を用いた澄んだスープ。野性味がほんのりと感じられる渡り蟹を、とても上品に仕上げた。渡り蟹の内子の塩漬けが添えられているので、そのまま食べてもいいし、味変で加えてもいい。
“冷たいクロケット”は、千葉県いすみ市大原漁港の貴重な天然の黒鮑を用いた前菜。ヴァン・ジョーヌ(=黄ワイン)で丁寧に煮て、肝のソースでしっかりとからめた。身はブロック状にカットされているので、黒鮑特有の食感も楽しめる。上にはパン粉と蕎麦の実が散りばめられていて小気味いい。サフランのソースと酢橘のソースが添えられているので、味変も楽しんでみて。
美食のワンハンドフードが“天城黒豚の旨煮”。静岡県の金子畜産天城黒豚をやわらかく煮て、ふっくらとした自家製の中華生地でサンドした。フレッシュなラディッシュと香り豊かなタイのバジルも印象に残る。
“スッポンとハーブ”は長崎のスッポンを用いた珍しいサラダ。マリーゴールド、イタリアンセロリ、ニンジンの新芽、えんどう豆の葉、高菜のスプラウト、ミニ春菊、レッドソレル、ミニオゼイユ、ノコギリ草、赤紫蘇、コリンキーなど、広島県にある梶谷農園のハーブや花が15種類も使われており、色彩も味わいもバリエーション豊か。沖縄県パインスッポンの煮凝りが忍ばせてあり、動物性の旨味が食欲をかきたてる。
パンもバターも自家製で、パンはほんのりと酸味があって料理を邪魔しない。水牛の角のバターナイフは、繊細なバターの風味を損ねず、美しい色合いだ。
五島列島の林鮮魚店から届いたシマアジを主役にした“極上シマアジ”も特筆するべき一品。仕上げに、千葉県九十九里浜の蛤とシジミで作ったスープを南部鉄器で注いでくれる。シマアジは丁寧に処理されているので状態が非常によい。藁焼きされた後に炭火焼きされているので、薫香にあふれている。魚介類の滋味がふんだんに閉じ込められた一品。