「涙雨だ」輪島朝市関係者ら、雨強まる発生時刻に黙禱 能登地震1年の節目に復活誓う
昨年元日に能登半島地震が発生して1年となった1日、激しい揺れや大規模火災で甚大な被害を受けた石川県輪島市の観光名所「輪島朝市」では多くの市民が訪れ、発生時刻の午後4時10分には、朝市の関係者ら約20人が現地で黙禱(もくとう)して犠牲者の冥福を祈った。 【写真】平成26年に撮影した輪島朝市。人が行き交い活気に満ちていた 周辺では公費解体が進み、更地が広がる。発生時刻前に降り始めた雨が1年の節目に合わせて強まると、集まった人からは「涙雨だ」という声も上がった。 露天商らでつくる輪島市朝市組合の冨水長毅(とみず・ながたけ)組合長(56)は「能登全体が悲しんでいる」と受け止めた。昨年7月からは朝市の復活に向け、市内の商業施設で出張朝市を開催しており、冨水さんは黙禱しながら「この1年、復興に向けて頑張りたい」と犠牲者らに語りかけたという。 雨にもかかわらず、花を供えたり、手を合わせたりする市民らの姿もあった。同市マリンタウンの仮設住宅で暮らす松岡江美子さん(79)は1年前を思い出し「崩れた自宅の下敷きになり、近所の人に助け出してもらった」と声を震わせた。朝市に出店していた知人らが亡くなったといい、「家で黙禱するよりもここで手を合わせたかった」と静かに話した。 同市河井町の自営業、木下京子さん(63)は高校の同級生が犠牲になったといい、持参した花を手向けた。「(亡くなった同級生とは)スポーツジムが同じでよく顔を合わせた。(地震前に)共通の知人の話題でよく会話を交わしたことを思い出す」と寂しそうに語った。(吉田智香)