「令和の米騒動」「晒し投げの衝撃」中日人気復活の一方で、球団ワースト3年連続最下位…今こそ立浪ドラゴンズを振り返る
2024年の日本シリーズでは、横浜DeNAベイスターズが福岡ソフトバンクホークスを4勝2敗で下し、26年ぶりの日本一の栄冠を手にした。その一方で、今年は阪神、中日、楽天、オリックス、西武の5球団の監督交代が発表されている(※11月25日現在)。 【一覧】プロ野球「最も愛された監督ランキング30」最下位は、まさかの… 球界を盛り上げた監督たちに敬意を表しつつ、彼らの功績や苦悩について、ライターの長谷川晶一さん、村瀬秀信さんに振り返ってもらった。
立浪ドラゴンズとは何だったのか?
長谷川:第一回は、最も話題になった中日・立浪和義監督を取り上げたいと思います。立浪さんはドラゴンズ史上初の3年連続最下位という球団ワースト記録を作ってしまいました。退任は致し方なかったと言わざるを得ません。 村瀬:先に功績を挙げると、観客動員数は回復していて、2024年の中日の主催試合の動員数は233万人と、16年ぶりに230万人を越えました。落合博満監督の時代よりも好調なんですよ。強さよりも立浪さんのスター性や、面白い野球が魅力だったということかもしれませんが。果たして立浪ドラゴンズとは何だったのだろうかということを改めて見ていきたいと思います。 みなさんがやはり印象に残っているのは「令和の米騒動」じゃないでしょうか。あれは本当に分かりやすい例というか、ああやって内部事情を面白おかしくあげつらわれてしまうというのが「弱いチーム」の象徴だと思うんですよね。 長谷川:外部からこういうチャチャを入れられて面白がられる時点で、内部崩壊を起こしかけているよね。 村瀬:あまりに揶揄されるような話が多すぎたじゃないですか。今年の開幕戦の神宮球場でのヤクルト戦も見ていて苦しかった。ショートのロドリゲスが、1点リードの8回に村上宗隆が打ち上げたフライを落球して逆転負けにつながったでしょう。 長谷川:開幕3連戦はヤクルト2勝1分、ドラゴンズ2敗1分。中日ファンからすると、今年は一味違うぞという感じで臨んだ開幕戦でああなったから「今年もなのか」みたいなね。シーズン始まっていきなり「立浪、やめろ!」と、球場に怒りの声が響いていましたよ。たしかに、あれは今シーズンの行く末を暗喩した感じがあったね。 村瀬:京田陽太のことも象徴的でした。監督就任早々の2022年5月、横浜でのDeNA戦の試合中に精彩を欠く京田に対して「勝負する顔をしていない」とナゴヤに帰らせてそのまま二軍降格。結局、京田はその年のオフにDeNAにトレードに出されてしまった。その京田が、今年のシーズン最終戦、つまり立浪監督の最後の試合で決勝打を放って中日の3年連続最下位が決まった。あれは立浪政権の3年間を象徴するシーンでしたよ。 僕は球団の生え抜きスター選手を監督にするのは反対なんです。選手時代の英雄も監督になればボロ雑巾にされるじゃないですか。立浪さんは本当はどんな野球がやりたかったんでしょうね。ドラゴンズの投手陣は間違いなく良かったけど、いま終わってみると先発は高橋宏斗しか結果を残せていない。打つほうは細川成也や、村松開人、福永裕基が出てきましたけど。 長谷川:本当は田中幹也と村松で二遊間を固めたかったんだろうけどね。ずっと得点力不足が課題と言われている中で、外から来た中田翔と中島宏之に頼らざるを得なかった。それでビシエドを使わないとなるとね。得点力の問題はどう解決するつもりなんだ?という中日ファンの悩みが、結局解消されないまま3年経ってしまった。 村瀬:発信力が悪いほうにいっちゃいましたね。立浪さんは「打つほうは何とかします」って言ったけれど、ファンからすれば結局何にもやってないじゃないかと受け止められてしまいました。