街中の充電サービス「チャージスポット」が全国4.4万台の設置網で“推し活サービス”を開始、従来の常識を覆す料金設定に
同社はこれらの課題に対応するため、AI機能を搭載した新型バッテリースタンド「ナビスポット」を開発。多言語での交通案内やルート案内、店舗・施設内の案内、バーチャル対応によるコミュニケーションサポートなど、多彩な機能を実装する。人流の多い場所には、カメラ付きタッチパネルを搭載し、現地スタッフによるリモート対応も可能な仕組みを用意。設置店舗のマーケティング支援ツールとしても活用できる。 ナビスポットの最初の導入事業者としてシンガポールのSBS Transitとの提携が発表された。SBS Transitは、大手複合輸送事業者コンフォートデルグロの子会社で、バスや鉄道などの公共交通機関、タクシーやハイヤーによる地点間輸送など、広範な交通ネットワークを有する。提携により、年内を目標にシンガポールの駅やバス停へナビスポットが設置されることになる。
■クレカだけでレンタルも実現 INFORICHのプラットフォームは、日本国内にとどまらない。すでに8地域で展開し、グローバルで6.5万台のデジタルサイネージネットワークを構築している。2024年には、オーストラリアのEzycharge、台湾のChargeSPOT Digital Serviceの子会社化を実施。さらに10月にはイギリスに子会社を設立し、ヨーロッパ市場への本格進出も開始した。 新型バッテリースタンドの開発も進む。クレジットカードでのタッチ決済モデルは2025年3月以降、まずはオーストラリアやヨーロッパでの展開を予定。スマートフォンの充電が切れてアプリが起動できない状態でもレンタルが可能となり、より緊急性の高いニーズに対応する。10スロットタイプでの展開を予定している。
太陽光による蓄電モデルは、2025年の導入を目標に開発を進めている。このモデルは5スロットタイプで、従来は屋外設置でもコンセントからの蓄電が必要だったが、太陽光を得られる場所であれば設置が可能となる。停電時でもバッテリーのレンタルが可能となることから、公共の公園や観光地などでの展開を想定。災害時のインフラとしても期待される。 モバイルバッテリーのシェアサービスとして急成長してきたINFORICHは、2つの新サービスで事業領域を大きく広げる。ファン文化とデジタルサイネージを結びつけた「チアスポット」は、従来の高額な応援広告に代わる新たな選択肢を提供。グローバルで6.5万台のネットワークを活かし、国境を越えた応援メッセージの発信を可能にする。一方の「ナビスポット」は、多言語AI案内システムとして観光インフラの課題解決に挑む。シンガポールでの導入を皮切りに、新型バッテリースタンドの展開と合わせ、社会インフラとしての機能強化を進めていく。
石井 徹 :モバイル・ITライター