街中の充電サービス「チャージスポット」が全国4.4万台の設置網で“推し活サービス”を開始、従来の常識を覆す料金設定に
「こうした広告は、ビルボードに推しの広告がボーンと打たれてファンは満足します。ただ、実はアーティストとしては事務所公認ではなく、アーティスト本人が喜ぶから事務所は目をつぶっているだけ。サードパーティーのビルボードが儲かるだけで、実は誰にも還元できていない」 先述のITChosonによれば、地下鉄駅での1カ月の広告費用は300万~700万ウォン(約31万~73万円)で、デザイン費用なども別途必要となる。この高額な費用と非公式な性質が、市場の健全な発展を阻んでいた。
チアスポットが画期的なのは、高額な費用の問題を解決するだけではない。最大の特徴は、支払われた料金の一部がアーティストや地域に還元される仕組みだ。 「その一部がライセンス料として事務所に還元されます。また、チャージスポットの設置店舗にも広告収入の一部を還元しています」と秋山氏は説明する。ファンの応援がアーティストの活動資金となり、さらには設置店舗がある地域の経済活性化にもつながるという訳だ。 チアスポットに展開するアーティストについては、LDH JAPANなど複数の芸能事務所との協議が進んでいるという。また、VTuberやアニメキャラクターなどへの展開の可能性も検討されている。
技術面でも基盤整備を着々と進める。チアスポットの展開に先立ち、広告配信の基盤となるSSP(サプライサイドプラットフォーム)の開発を完了。DSP(デマンドサイドプラットフォーム)も2024年内に完了予定で、街頭の様々なデジタルサイネージとの連携も視野に入れる。 「DSPのつなぎ込みによって、すべての街中のデジタルサイネージも実はつないでしまう。街中のサイネージもチアスポット広告が展開できる」と秋山氏は展望を語る。2026年までには「2桁多くの、しっかりとしたレベルを叩き出せる」ことを目指すという。
■バッテリー貸出機で多言語案内も 11月7日のINFORICHのイベントでは、チアスポットのほかにもバッテリーレンタル機を活用した新サービスが発表された。増加するインバウンド需要に対応する「NaviSPOT(ナビスポット)」の展開だ。 インバウンド旅行者の増加は、地域経済に大きな利益をもたらす一方で、観光インフラの不足や言語の壁、サービス業での人手不足など、さまざまな課題を浮き彫りにしている。特に、旅行者が交通機関を利用する際や、店舗での案内を理解する際の言語障壁は大きなストレスとなっている。