【高校サッカー選手権】翔凛、長所を存分に生かした狙い通りの5得点
10月6日、第103回全国高校サッカー選手権千葉予選の決勝トーナメント1回戦2日目が行われ、日大習志野と翔凛が対戦。試合はMF16渡邉拓美(3年)の2ゴールなどで翔凛が5-1で日大習志野を圧倒し、2回戦進出を決めた。 【フォトギャラリー】翔凜 vs 日大習志野 試合はいきなり動いた。前半3分、翔凛、コーナーキックのチャンスにMF16渡邉が頭で押しこんで、先制。日大習志野にまったくボールを渡さず、ゲームの主導権を握る翔凛は25分、左サイドDF5戸川渉(3年)のクロスからMF7衛藤涼希(3年)が決め、追加点。続く28分、スローインからFW9柳優太(1年)が決め、前半だけで3得点をあげ、後半へ。 前半、ほとんどなにもできなかった日大習志野。ハーフタイムで飯田諒監督から「諦めるな。絶対にできるはず。こんなもんじゃない」と檄を受け、迎えた後半、システムを変更し、戦局の打開を図った。立ち上がりこそ果敢に攻めたがラストパス、シュートなど肝心なシーンとなると、相手守備陣に阻まれ、ゴールが遠かった。 一方、3点差をつけた翔凛。前に出る日大習志野の裏のスペースを突き、チャンスと得点を重ねた。後半14分、カウンターからMF16渡邊がチーム4点目を決めると20分にはふたたび左サイドDF5戸川のクロスに途中起用のFW15 長山禅(3年)が頭で合わせて、5点目が決まった。 このままでは終われない日大習志野は後半24分、MF10須田虎之助(3年)が得意のドリブルでこじ開け、ようやく1点を返したが万事休す。翔凛が5対1で日大習志野を圧倒した。 勝敗を分けたのは前半での3ゴール。試合前、翔凛・白根英隆監督はこんな見立てをしていた。 「相手はベタ引きしてくると思っていました。ペナルティエリア内に10人いたら、厳しくなってしまうなと感じていました」と守備的な戦いを想定していたが、前半2分の得点で日大習志野が前に出ざるを得ない状況となり、これが優位に働いた。 またこんなことも話していた。 「(日大習志野は)極力、ボールを触わらず、一発のパスで背後を取る、あるいはコーナーやセットプレーで点を取ると想定していました。しかし、そこを我々は凌駕したかったです」 先制点はCKから、3点目はスローインだったこと、そして「ボールを相手に渡したくなかった」との白根監督の狙い通りの試合運びとなった。 加えて翔凛が良かったのはサイド攻撃。特に2アシストの右サイドバックDF5 戸川。そして右サイドからゴリゴリと音が鳴りそうな力強いドリブルを何度も見せたMF10岡部隼也(3年)、この2人が際立っていた。 MF10岡部は「スピードのある僕を周りが生かしてくれたり、ひとりひとりの特長を生かしたサッカーができました。(翔凛は)サイドがストロングポイントなので意識してプレーしました」と話せば、DF5 戸川は「岡部はドリブルができるのでサイド攻撃がチームの長所。僕もそこそこ走れるのでオーバーラップからのクロスを意識していますし、監督からもどんどん仕掛けていこうと言われます」と培った良さを存分に生かしていた。 また前半3対0で折り返しても翔凛は攻勢を緩めなかった。「ハーフタイムに監督から『4点目を取りに行こう』『早い時間帯でほしい』と話しがありました」(DF5 戸川)、「監督から『後半あと1点取ったら勝負が決まる』と言われました。点が欲しかったのでイケイケでした」(MF16渡邉)。 後半、ややオープンな展開となり1失点したものの、終始、狙い通りのサッカーができた翔凛。チームの武器・特長を十分に発揮した1回戦突破となった。なお、翔凛は2回戦で千城台と対戦する。 (文・写真=佐藤亮太)