【みりんはお酒って知ってた?】無形文化遺産「伝統的酒造り」は日本酒だけではない!: 焼酎、泡盛、みりんの基礎知識
麹(こうじ)を使い発酵させて日本酒、焼酎、泡盛、みりんなどを造る「伝統的酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録された―というニュースで「みりんって、酒だったの?」と思った人も少なからずいたのでは。イマイチ注目が集まらなかった日本酒以外の麹を使った酒類をご紹介。
焼酎
日本酒と並ぶ伝統的な日本の酒。最大の違いは「日本酒=醸造酒」であるのに対して、「焼酎=蒸留酒」であること。蒸留酒は、アルコールの沸点が水より低いことを利用して、醸造酒を加熱してアルコール成分を優先的に気化させて取り出し、それを冷却して再び液体に戻したもの。日本酒が「黄麹」を使うのに対して、焼酎は「黒麹」「白麹」を使うのが一般的。 15世紀中ごろ、南アジアと交易の盛んだった琉球王国(現在の沖縄)にシャム国(現在のタイ)から伝来したと言われる。16世紀になると鹿児島に伝わり、次第に九州を北へと伝播した。主原料はサツマイモ、麦、ソバ、コメ、黒糖など気候風土に応じてバリエーションが豊富。
泡盛
「黒麹」を使いコメを主原料にする琉球諸島の焼酎。一般的なコメ焼酎との違いは、インディカ米(長粒米)を使うこと。東南アジアとの交流が盛んだった琉球王国の伝統。 泡盛を3年以上熟成させたものは古酒(くーすー)と呼ばれる。寝かせれば寝かせるほどにまろやかになり、芳醇(ほうじゅん)な香りになる。10年、20年、100年ものの超希少酒には高値がつく。
みりん
和食に欠かすことのできない調味料みりん。実は、アルコール分14%前後のれっきとした酒類。スーパーのレジでは「20歳以上ですか?」と年齢確認される。 戦国時代に中国から伝わった甘い酒「蜜淋(ミイリン)」が日本で定着したとする中国伝来説や、古代酒である「練酒」や「白酒」に腐敗防止のために焼酎を加えたという日本誕生説など由来は諸説あり。ほのかな甘みのある高級酒として武士や豪商などに好まれた。 みりんの糖分としょう油のアミノ酸によって生まれる香り、うまみ、テリが料理をグレードアップさせるとして、江戸時代から調味料として使われるようになった。一般家庭に広まったのは高度経済成長期に入ってから。 伝統的製法のみりんは、蒸したもち米に、麹と焼酎を加えて約30~60日ほどかけてじっくり発酵させる。価格は500ミリリットルで1000円以上する。スーパーなどで数百円で購入できるみりんは、焼酎のかわりに醸造用アルコールを使い、水アメなどの甘み成分を加えて短期間の発酵で完成させる。価格は500円でお釣くるくらい。 実は、多くの家庭にあるのは、みりんではなく、「みりん風調味料」かも。1リットルのペットボトルでも数百円。ブドウ糖や水あめなどの糖類に酸味料、香料、化学調味料を添加したもので、アルコールはほとんど含まれない。つまり、みりんとは似て非なるもの。 みりんタイプの醸造調味料(発酵調味料)はいわゆる料理酒でみりんと同様にアルコール分14%程度だが、食塩を加えている(=飲酒には敵さない)ため、酒税法の対象外で、みりんよりも割安。