“アセットライト”なる資産切り売りを続ける西武HDの末期症状
東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー (C)yu_photo/stock.adobe.com
買い手の本命はシンガポール政府系投資ファンドのGIC、対抗はブラックストーンやKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)といった米系ファンド、大穴は三井不動産やヒューリックなどの日本勢――。この数カ月、不動産業界関係者らの間で、寄ると触ると話のタネになる売却案件がある。「東京ガーデンテラス紀尾井町」(東京・千代田)。売り主はコロナ禍で経営が傾いた西武ホールディングス(HD)である。 東京・紀尾井町の旧赤坂プリンスホテル新館(略称・赤プリ、後のグランドプリンスホテル赤坂)が惜しまれながら閉館したのは2011年3月31日。西武グループ創業一族の2代目・ 堤義明 (90)が建築家・丹下健三(1913~2005年)に設計を依頼し、1982年に竣工した地上40階建ての超高層ホテルは、ガラスとアルミのカーテンウオールで構築した外壁が印象的で「昭和バブル期の名建築」の1つと謳われた。 現在この赤プリの跡地に聳え立つのが「東京ガーデンテラス紀尾井町」だ。ホテル(ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町、客室数250室)・オフィス・商業施設を併設する紀尾井タワー(地上36階建て)と賃貸住宅が入居する紀尾井レジデンス(同21階建て)の2棟で構成。敷地面積3万400平方メートル、総延べ床面積22万7200平方メートルの大規模プロジェクトで、建て替えには1040億円が投じられ、2016年に竣工・開業した。
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杜耕次