【独自】“国産・生成AI”開発 政府が7者採択 Googleが支援
政府は、国産の生成AIの開発力を強化するため、基盤モデルを開発する国内7者を採択し支援する方針を固めたことが、テレビ東京の取材でわかった。採択されるのは、ABEJA、Preferred Elements、ストックマーク、Sakana AI、Turingの国内スタートアップ企業と、情報・システム研究機構、東京大学の7者。経済産業省が所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、ポスト5Gの情報通信システム基盤強化の研究開発事業として去年11月から公募していた。予算総額は84億円で、7者は最新鋭のGPU(AI向け半導体)を搭載したGoogleのスーパーコンピューターを無料で利用でき、およそ6か月間で社会実装に向けた“国産・生成AI”の開発を目指す。 プロジェクト名は「GENIAC(ジーニアック)」で、Generative AI Accelerator Challengeの略。生成AIの国産化を加速させたい経済産業省が、去年夏ごろから準備を進めてきた。 生成AIの開発には、AIに膨大なデータを学習させるためにGPUを搭載したスパコンの存在が欠かせない。しかし、世界中でGPUの獲得競争が激しさを増す中で、資金力に乏しい日本のスタートアップ企業が十分な量のGPUを確保するのは極めて困難で、生成AI開発のボトルネックになっている。そこで経産省は、自らがGoogleに掛け合い、GPU搭載のスパコンの一括調達にこぎつけた。経産省関係者は「政府主導で臨まないと、GPU獲得は難しい」と明かす。
そして最後は2人のトップの合意で、プロジェクトの幕は開いた。去年11月、APECに参加するために米国を訪問した岸田総理は、GoogleのピチャイCEOと会談。その席で岸田総理から生成AI開発をめぐる日米連携の重要性などについて言及があり、ピチャイCEOからはプロジェクトへの協力の意思と感謝の気持ちが示されたという。Googleの関係者は、日本の生成AI開発への支援を決めた理由について、「日本市場は生成AIが普及する可能性が大きい。そこに我々が貢献できると考えた結果だ」と語った。 今回採択される7者は、「マルチモーダル」と呼ばれるテキスト・画像・音声など異なる情報を統合して処理するAIや、「ハルシネーション」と呼ばれる“もっともらしい嘘”を大幅に抑制するAIなど、それぞれの強みや特性を生かした生成AIを開発する方針。生成AIを使う側の企業との連携も視野に入れながら、生成AIの早期の社会実装を目指していく。