NY市場サマリー(8日)S&P初の6000台、ドル上昇 国債利回り低下
<為替> ドルが上昇した。投資家が大統領選でのトランプ氏の影響を見極めようとする中、週間ベースでも上昇に向かっている。 アナリストらは、貿易関税の引き上げや不法移民の取り締まり、減税、事業規制緩和などトランプ大統領の政策提案が成長とインフレを押し上げると予想している。ただ短期的には、実際にどのような政策が導入されるかかなりの不確実性が残っている。 バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフストラテジスト、マーク・チャンドラー氏はトランプ氏の政策案について「それが選挙運動のレトリックなのか、交渉術なのか、あるいは原則を語ったものなのか、われわれにはよく分からない。ドルと金利に見られるボラティリティの一部は、市場がそれを解明しようとしているからだ」と指摘した。 ドル指数は0.58%高の105.01。週間では0.68 %上昇するペースとなっている。6日は4カ月ぶり高値の105.44を付けていた。 ユーロ/ドルは0.85%安の1.0712ドル。6日のドイツ連立政権崩壊を受けて、今週は1.12%安となる基調にある。 ドル/円は0.13%安の152.73円となった。米国との金利差が拡大するにつれ円は下落すると予想されている。 オフショア人民元は0.69%安の1ドル=7.2元だった。 中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会は8日、地方政府の「隠れ債務」について10兆元(1兆4000億ドル)規模の対策を決定したが、より積極的な財政刺激策を期待する市場の期待には応えられなかった。 暗号資産(仮想通貨)のビットコインは1.45%高の7万7068ドルとなった。一時は過去最高値の7万7303.97ドルに達した。 NY外為市場:[USD/J] <債券> 国債利回りが低下した。投資家は3連休となる週末を前に、トランプ氏の大統領選勝利に備え行っていた国債の売りを一時停止し、利益確定のためのポジション整理を行った。 指標となる10年債利回りは2.7ベーシスポイント(bp)低下の4.316%。週間では9月初旬以来の大幅な低下幅を記録した。 30年国債利回りは5.7bp低下の4.486%となった。週ベースでは5.8bp低下した。 米大統領選挙前に投資家は、トランプ氏の勝利を織り込んで米国債を売却し、利回りは数カ月ぶりの高水準に上昇していた。インサイト・インベストメントの北米債券部門の責任者、ブレンダン・マーフィー氏は「これは典型的な『噂で買って事実で売る』という状況だ」と述べた。 米連邦準備理事会(FRB)は7日、市場に利益確定のチャンスを与えた。市場予想通り、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.50─4.75%とした。 LSEGによると、FF金利先物市場では、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でさらに25bpの利下げが行われる可能性が85%、利下げが一時停止される可能性は15%と見込まれている。 政策立案者らは、1月にトランプ氏が大統領に就任した後、経済情勢がより複雑になる可能性に備えている。 2年債利回りは3.8bp上昇し4.258%。イールドカーブはフラット化し、2年債と10年債の利回り格差は4.2bpと1カ月ぶりの低水準となった。 11日の債券市場はベテランズデー(退役軍人の日)のため休場となる。 米金融・債券市場:[US/BJ] <株式> S&P総合500種が一時、初めて6000台に乗せ、週間で1年ぶりの上昇率を記録して引けた。共和党のトランプ氏が次期米大統領に選出されたほか、議会でも共和党の優勢が予想されることで企業に有利となる政策への期待が高まった。 また、7日まで開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で決定された25ベーシスポイント(bp)の追加利下げ今週の株価を支えた。 S&P、ダウ工業株30種は、2023年11月初旬以来の週間上昇率を記録した。ハイテク株が中心のナスダック総合は 2か月ぶりの好調なパフォーマンスを記録し、今年2番目に好調な週となった。 トランプ次期大統領政権下での法人税引き下げと規制緩和への期待から、ナスダックは3営業日連続で最高値を更新。S&Pは終値ベースで今年50回目の最高値を更新した。 ホライゾン・インベストメンツのリサーチ&クオンツ戦略責任者、マイク・ディクソン氏は「これは心理的に重要な数字だが、今週のあらゆる動きを考えると、6005で終えても5995で終えてもそれほど重要ではないと思う。今週の市場は大幅に上昇している」と述べた。 週足では、S&Pが4.66%、ナスダックが5.74%、ダウが4.61%、それぞれ上昇した。 S&P500の主要11セクターでは不動産、公益事業など金利に敏感なセクターが最も好調だった。 規制緩和や減税などの恩恵を受けやすいとみられるラッセル2000指数は週間で8.51%上昇し、20年4月以来最大の週間上昇率を記録した。 個別銘柄では、米民泊仲介大手エアビーアンドビーが8.66%安。第3・四半期利益が市場予想を下回ったことを受けた。 画像共有サイトのピンタレストは14%安。売上高見通しが期待外れとなったことが売り材料視された。 中国の電子商取引(EC)大手、京東商城(JDドットコム)、アリババ・グループ・ホールディングはそれぞれ6.99%、5.94%下落。中国政府が発表した景気支援策はまたもや投資家に株価下支えに十分な内容と受け止められなかったことが響いた。 ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.7対1の比率で上回った。ナスダックでも1.21対1で値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回った。 米取引所の合算出来高は154億6000万株。直近20営業日の平均は127億4000万株。 米国株式市場:[.NJP] <金先物> 米追加利下げペースを巡る思惑や対ユーロでのドル上昇を背景に売りが優勢となり、 反落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比11.00ドル(0.41 %)安の1オンス=2694.80ドル。週間では54.40ドル(1.98%)下落した。 NY貴金属:[GOL/XJ] <米原油先物> ハリケーンの影響で高まっていた供給不安が後退したことで売りが強まり、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月12月物は前日清算値(終値に相当)比1.98ドル(2.74%)安の1バレル=70.38ドルだった。週間では1.28%高。 NYMEXエネルギー:[CR/USJ] ドル/円 NY終値 152.63/152.65 始値 152.42 高値 152.85 安値 152.34 ユーロ/ドル NY終値 1.0718/1.0719 始値 1.0783 高値 1.0784 安値 1.0688 米東部時間 30年債(指標銘柄) 17時05分 100*14.00 4.4734% 前営業日終値 99*09.00 4.5440% 10年債(指標銘柄) 17時05分 99*17.50 4.3062% 前営業日終値 99*08.00 4.3430% 5年債(指標銘柄) 17時05分 99*22.25 4.1933% 前営業日終値 99*22.50 4.1910% 2年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.38 4.2519% 前営業日終値 99*26.25 4.2200% 終値 前日比 % ダウ工業株30種 43988.99 +259.65 +0.59 前営業日終値 43729.34 ナスダック総合 19286.78 +17.32 +0.09 前営業日終値 19269.46 S&P総合500種 5995.54 +22.44 +0.38 前営業日終値 5973.10 COMEX金 12月限 2694.8 ‐11.0 前営業日終値 2705.8 COMEX銀 12月限 3144.9 ‐40.6 前営業日終値 3185.5 北海ブレント 1月限 73.87 ‐1.76 前営業日終値 75.63 米WTI先物 12月限 70.38 ‐1.98 前営業日終値 72.36 CRB商品指数 281.6846 ‐4.5164 前営業日終値 286.2010