スマートフォン市場の中でも特殊な"立ち位置”、京セラが「タフネス特化」で成熟したスマホ市場に挑む、TORQUEブランドに問われる真価
スマートフォン市場の中でも特殊な位置を占めるのが、高い耐久性を売りにした「タフネススマホ」だ。過酷な環境下での使用に耐える性能を持つこのカテゴリーで、日本市場において主要プレイヤーはごく限られる。その中で、京セラの「TORQUE」シリーズが発売10周年を迎えた。 【写真で見る】どんなデザイン?発売10周年を迎えた京セラの「TORQUE」シリーズ ■法人と個人の「二面戦略」 タフネススマホという限られた市場で、TORQUEは一強とも言えるポジションを確立してきた。その特徴は、法人向けと個人向けの両軸で展開してきた点にある。
法人市場では過酷な現場での使用に耐える堅牢性が評価され、個人向けでは携帯キャリアのau(KDDI)とタッグを組み、アウトドア愛好家を中心に固定ファンを獲得してきた。この二面戦略により、TORQUEは4世代目のG04まで順調に出荷を伸ばし、着実に成長を遂げてきた。 【写真】発売10周年を迎えた京セラの「TORQUE」シリーズ しかし、5世代目となるTORQUE 5Gの発売時期とコロナ禍が重なり、急激な市場環境の変化に直面することとなった。コロナ禍を境に、それまで比較的安定していた買い替えサイクルに大きな変化が生じ、需要の停滞が顕著になった。スマートフォン市場全体が縮小傾向にある中、タフネススマホという特殊なカテゴリーも例外ではなく、厳しい状況に置かれることとなった。
変化の中で京セラはTORQUEブランドをどのように進化させ、市場での地位を守り、さらには拡大していくのか。10年の歴史を振り返りつつ、その戦略と課題に迫る。 ■「タフネス」を継続的に強化 TORQUEシリーズの10年間の歩みの中で、製品コンセプトの進化を遂げてきた。当初、TORQUEは「ラグ(RAG: Rugged, Anti-shock and Waterproof)」というコンセプトを掲げ、物理的な高耐久性を追求してきた。高耐久性へのこだわりは、一連の厳しい試験によって裏付けられている。