【独自解説】「ウクライナとロシアだけの問題ではない」北朝鮮の派兵が日本に与える影響 『資源』『食料』の切り札を失ったら、次なるカードは『日本の技術』?拉致問題について“戦争当事国”と交渉できるのか―
■「ウクライナとロシアの間だけの話ではない」最も影響を受けるのは日本か 世界の厳しい視線の中、迫られる決断―
そして、その影響を一番受けるのは、日本が決断を迫られる『拉致問題』です。選挙期間に入ってからでしたが、石破首相も拉致被害者のご家族と会って、「最優先で進めたい」と約束されました。これは、歴代の首相がしてきました。当然、トップ同士の交渉も、これからやるわけです。
ところが問題は、世界が北朝鮮を“ロシアを支援している国”ではなく“戦争の当事国”と見ることです。日本としては自国民の拉致問題があるとはいえ、国際社会、少なくともヨーロッパの国からは「“戦争当事国と見られている国”と首脳同士で話をするんですか」という声が出てきます。特に国連の場では、そうでしょう。
そして、アメリカの大統領選です。北朝鮮は、トランプ氏の再選を強く望んでいるといわれています。それもそのはずで、ハリス氏は「金正恩氏のような独裁者にすり寄ることはない」と明言していて、つまり「会う気もない」ということです。一方、トランプ氏は「(金正恩氏に対して)うまくやる」と、「現に自分は会ってきた」ということも言っているからです。
拉致被害者の交渉に関しては、歴代のアメリカ政府の協力がとても大切でした。トランプ前大統領がもし再選したら、やってくれるとは思いますが、ただ問題は、この方はやはり『取引』ということで、金正恩氏を交渉の場に引きずり出します。ただ、「もはや資源が通用しない」となると、相手側が一番欲しいのは、実は我が国の技術や工業製品です。
というのは、イランが作ったのかもしれないし北朝鮮が作ったのかもしれないですけど、現実にウクライナの戦場で発見された無人機には、日本製の電池や、日本の高級カメラのレンズの一部など、バラバラにして使っている物がたくさんあります。これは、今の日本と北朝鮮、あるいは世界と北朝鮮の情勢では相手に渡らないことになっていますが、闇で渡っているわけです。
何度も言いますが、今回の行動によって北朝鮮は、少なくともロシア側を支持している国とは別の国から見れば、戦争当事国です。日本は、今まで以上に厳しい世界の視線の中で、この戦争当事国と「拉致被害者を返してもらう交渉をするのか」という決断をしなければならないということです。今回の北朝鮮の派兵は、「ウクライナとロシアの間だけの話ではない」ということを、お考えいただければと思います。(『読売テレビ』高岡達之特別解説委員) (「かんさい情報ネットten.」2024年10月21日放送)
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