【独自解説】「ウクライナとロシアだけの問題ではない」北朝鮮の派兵が日本に与える影響 『資源』『食料』の切り札を失ったら、次なるカードは『日本の技術』?拉致問題について“戦争当事国”と交渉できるのか―
北朝鮮の映像に、実際の部隊の訓練があります。ビルの壁をよじ登ったり、上から下りてきたりして侵入し、建物の中で接近戦を行います。
そして、夜でも相手を識別できるように、赤外線センサーのようなものをヘルメットに付けて、戦闘行動をしています。
この訓練を視察した金正恩総書記が持っているのは、遠距離の狙撃銃です。
「自分の肉体を研ぎ澄まして、その体そのものを武器に使う」というようなこともやります。こういった特殊な訓練は、欧米の軍隊よりアジアのほうが優れているといわれています。
■「何をされるかわからない」ウクライナ側に与える恐怖 世界が知らない“北朝鮮の戦い方”
こういった部隊は、相手の裏にこっそりと潜入します。日本の拉致被害者の事件もそうですが、北朝鮮はそういうのが得意です。これは、ロシアの正規軍の“力の戦争”とは形が違うので、ウクライナ側には当然「何をされるかわからない怖さ」が出てくることになります。
その「何をされるかわからない怖さ」について、北朝鮮の部隊の写真を見ていきます。これは軍事パレードに出てきた部隊で、この部隊がウクライナに行っているかどうかはわかりませんが、不気味なのは毒ガス避けのマスクをしています(写真左)。また、顔を完全に隠蔽する形で、建物の中や夜でも戦闘できるライトを付けています(写真右)。
「北朝鮮の部隊は、どんな兵器を使って、どんな戦い方をするか」ということを、ほとんど世界は知りませんし、朝鮮戦争の戦い方は古過ぎて参考になりません。そうすると、どんな武器を持っているかもわからないし、『毒ガス避けのマスク』や『夜でも戦闘できるライト』だって本物かどうかわからないといわれますが、それが初めて実戦で使われることになります。
■交渉の“カード”がなくなる?北朝鮮が対価として得るものと、世界に与える影響
今回の派兵で、確かに自国の兵士が傷つく危険性は極めて高いですが、北朝鮮は“物凄い物”を手に入れます。「資源に苦しむこと」から解放されるんです。
今までずっと、米国との核の交渉でもそうでしたが、北朝鮮は「食料が足りない」「工業製品を動かす石油がない」ということで、核の交渉をする時には必ず「それらをくれ」と言ってきました。国連の制裁措置で、原油・鉄鋼・機械類などで国を盛り上げていくことを制限されていますから、できません。 でも、これらは全部、ロシアから貰えます。ロシアは、世界有数の資源国です。食料に関しても、北朝鮮は人口の4割が栄養不足だといわれていますが、ロシアという大国は食料の自給率が世界トップクラスですから、「いるんだったら差し上げるよ」と。 北朝鮮が、この“安心”を手に入れるということは、今後、米国との交渉の時に「資源がカードにならない」ということです。
【関連記事】
- 【独自解説】ロシア軍機が日本の領空を侵犯 航空自衛隊が初めて「フレア」による警告実施 領空侵犯機にできるのは「退去」と「着陸」 今後自衛隊法第84条はどうなる?武器使用の明記で変わる各国の対応
- 【独自解説】『増殖する遺伝子』に不安の声?コロナ新ワクチン『レプリコン』に大きな波紋 製薬会社「接種者からの感染は起こり得ない」とするも、接種者“入店拒否”や医療機関に抗議電話も…騒動の背景を追う
- 【特集】なぜ『ドラッグストア』は生鮮食品に手を出したのか?その裏側には“儲けのからくり”が…強みを活かした独自戦略で差別化を図るドラッグストアの生き残り戦略を追う!
- 【年金企画】「旅行なんかいつでも行けると言って、最初で最後に…」子ども2人を育てながらローン返済に追われ、支え合ってきた夫が急死 今は愛犬たちと暮らす女性の“大切な年金の使い道”とは?
- 【いまだ逃走中】「毎日『八田逮捕』の知らせを待っていました」遺族の願いも虚しく…八田與一容疑者の『重要指名手配』継続・『捜査特別報奨金』期限延長が決定 「凶器を車に変えただけで、これは完全な殺人だ」あの日、一体何が―