伊勢丹新宿店本館&メンズ館に「ルイ・ヴィトン」出店がついに実現 その背景とは
伊勢丹新宿店本館4階に「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」が11月1日の今日オープンした。同百貨店では今年3月に出店したメンズ館2階に続いて2店舗目。方針の違いからルイ・ヴィトンの出店が叶わなかった背景があるが、なぜこのタイミングで2店舗の出店実現に至ったのか。 【画像】「大きな売り上げがとれる」という限定品や先行販売品
伊勢丹新宿店は、一つの館の中で様々なブランドが融合するような売り場環境を特徴とし、店舗設計においては出店ブランドに対して規制を行っている。一方でルイ・ヴィトンはブランド独自の世界観を重視しているため、両者の意見がすり合わず、オープン実現に至るまで長年にわたり難航。ルイ・ヴィトンは伊勢丹新宿店の向かいに路面店を構えることで、新宿エリアの顧客ニーズに応えてきた。 伊勢丹新宿店で約20年にわたりラグジュアリーフロアのバイヤーを担当している高木隆人氏によると、ルイ・ヴィトンの出店が叶わなかった現在に至るまで、電話での問い合わせやアンケートなど、顧客からは出店や購入を望む声が多数届いていたという。ルイ・ヴィトン側も、路面店に伊勢丹新宿店の良質な顧客が来店するなど伊勢丹に対し好感を持つようになり、「伊勢丹の顧客により触れ合いたい」という思いから出店実現に至ったという。 今回のルイ・ヴィトンの本館出店には「良質な顧客との接点の創出」が最大の目的にある。出店交渉の段階では、かねてよりルイ・ヴィトンの希望だった地上1階への出店や、複数フロアにまたがった展開も検討したが、“ファッションの伊勢丹”の象徴する一つのフロアで、高感度かつ上質な顧客が最も集まり、また衣料品の売り上げが高いショップが集積されているのが4階フロアだったことから、同フロアに店舗を構えることになった。従来のルイ・ヴィトンの店舗は雑貨が売り場のメインだが、本館ではプレタポルテのコレクションを中心としたファッションの比重を高め、ファッションと雑貨で半分ずつ構成することで、買い回りを期待する。 店舗は「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」や「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」などが構えていた区画に位置。外観のガラスのファサードにはメゾンを象徴するモノグラム・モチーフを立体的に施し、ゴールドカラーのルイ・ヴィトンロゴとフレームによりラグジュアリーな雰囲気を演出している。伊勢丹新宿店は買い回りしやすい環境設計実現のため、ルイ・ヴィトンに理想の接客環境に関するヒアリングを行い、伊勢丹新宿店側は規制の一部を変えるなど、両者の要望をすり合わせながら他の百貨店店舗よりも入店しやすいデザインに仕上げたという。売り場面積は非公開。 本館ではウィメンズにフォーカスし、オープン時はトラベルラゲージやレザーグッズ、プレタポルテ、シューズ、サングラス、フレグランス、アクセサリーを展開している。また、オープンを記念し、全世界で同店限定のバッグや小物といったエクスクルーシブなアイテムを販売。限定品、先行販売品のみでも「大きな売上を作れる商材を確保した」(高木氏)という。同店では購入者を対象に、レザーやキャンバスの小物やバッグのネームタグに同店限定デザインとしてメゾンのマスコット「ヴィヴィエンヌ」の刻印サービスを無料で実施。修理受付は 2025年2月1日から開始を予定している。なお、オープン初日の11月1日から4日までの期間は事前入場の当選者(申込受付は終了)のほか、店頭で配布する入場整理券所有者のみが入店可能となっている。 本館4階フロアのリフレッシュオープンでは、フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)によるブランド「フィービー ファイロ(PHOEBE PHILO)」の取り扱いが始まるなどトピックスは目白押しだが、ルイ・ヴィトンはその中でも目玉の一つと位置付ける。高木氏は「伊勢丹新宿店だけにしかできないスペシャルなイベントやカスタマーサービスを展開していきたい」と意気込んでいる。 なお、メンズ商品は今年3月にオープンした伊勢丹新宿店メンズ館2階の店舗で取り扱っている。近隣に路面店がありながら、本館とメンズ館の2店舗体制での出店は当初から計画していたといい、メンズ館の滑り出しは好調だという。路面店との顧客層のカニバリズムが懸念されるが、路面店の顧客はブランドのみ、伊勢丹新宿店の顧客は他ブランドとの買い回りを目的にしていることが想定されるため、顧客層の被りはないとしている。また、ホームアイテムなどは路面店のみで取り扱っているという背景から、高木氏は「うまく補完し合っていける」と相乗効果に期待を示す。伊勢丹新宿店のルイ・ヴィトン2店舗では路面店のみで取り扱う商品の取り寄せも可能だという。
オープン前には伊勢丹新宿店の外商顧客を中心に先行披露。事前の入店受付では予想を遥かに超える予約数が入り、予約枠を急遽広げるなどの対応をとった。その際の売り上げも好調で、「お客様に満足いただけた」と高木氏は手応えを語っている。