【立憲代表選】締め切り30分前の攻防ドキュメント 4人目は江田氏か吉田氏か…告示日ギリギリですべり込み 候補者「1本化」の瞬間
まさにギリギリの決着だった。9月23日に投開票される立憲民主党の代表選挙。その構図が決まる瞬間に立ち会った。 告示日当日の9月7日、時刻は午前10時半すぎ。立候補者受付が終了する午前11時まであとわずかというタイミングだった。
議員会館の廊下に漂った“独特な空気”
土曜朝の永田町。国会も開会されておらず、外は人の姿もまばらで穏やかな休日の朝を迎えていた。しかし、そんな中、衆議院第二議員会館の6階は違った。 このフロアには出馬を目指す吉田晴美議員と江田憲司議員双方の事務所がある。それぞれの事務所の距離は別の議員の2つの事務所をはさんで40mほどしか離れていない。 部屋の前の廊下には番記者ら約20人に、各局のカメラマンがスタンバイし、2人の出馬の可否が出るのを待ち受けている。会館内は土曜日ということもあって廊下の照明は消されていて薄暗く、空調も効いておらず、とにかく蒸し暑い。そこに昨晩から続く取材による記者たちの疲労感と両陣営の焦燥感がない混ぜとなった独特の空気が漂っている。
分刻みの攻防と水面下の交渉
【午前9時】 陣営や選対の関係者がトイレへ行くために部屋を出入りするたびに記者が後を追う。みな一様に表情は固い。 吉田晴美議員もトイレへ。緊張した面持ちで頭を下げるだけで、また自室へと入る。 【午前9時45分】 江田憲司議員が別の議員の部屋へ。表情は険しい。また足早に戻っていく。 どちらが出馬にいたるのか、それともどちらも出馬できないのか?部屋の中では推薦人集めと、両者の一本化に向けた水面下の交渉が大詰めを迎えているようだ。 【午前10時6分】 江田氏が部屋から出てきた。「だいぶ見えてきた」と口にする。続いて江田陣営の議員も「どっちかが出るところに一歩、半歩近づいた感じですね」と話す。 決着の時が近づいてきた。各陣営、関係者の部屋の出入りが激しくなる。さすがに立候補受付の締め切りが近づいてきたため、記者に交じって立憲民主党の職員も廊下にスタンバイし、心配そうに様子をうかがっている。 立憲民主党職員から「あと1人来た時にどうするか、書類のチェックや用意もあるし」と本音が漏れる。 【午前10時20分】 江田議員の部屋から5、6人の議員がぞろそろと出てきた。「はー」と大きなため息を吐く議員もいる。そして、いまから江田、吉田陣営両方がそろってぶら下がり取材を受けるという。 江田氏が取材を受けるという場所となった議員の部屋へと入った。表情は明るくはない。時刻はすでに午前10時半を回っていた。