【家族の絆】「いつでも帰ってこられる場所を子どもたちに」父から助けてくれなかった母親も被害者だった~その1~
同居した父は以前の印象とは別人だった
祖母が亡くなったことで父親との同居が始まった。離れて暮らしていたときの父親は香織さんのわがままを笑顔で聞いてくれていた。しかし、同居した父は別人だった。 「それまでの私の中での父はとても優しくて、私と顔を合わせれば一緒に遊んでくれていた存在でした。だから、最初は父と一緒に暮らせるようになったことを喜びました。別居中の父はいつも休日のお昼すぎから私たちに会いに来て、少し遊んで一緒に食事を食べに外出して夜には帰っていきました。お出かけも外食だけだったんです。だから、朝から一緒にいれるならどこか遠くに連れてってもらえると思っていました。 でも、休日の父は家で寝ているばかりで全然かまってくれませんでした。私は遊んでほしくて父の寝室に行ってちょっかいをかけていたら、枕を投げつけられたんです。びっくりして、そのことは母にも兄にも言えませんでした」 父親はやがて子どもの前でもイライラした態度を隠さないようになり、ついには母親の前でも手を出すようになったという。 「食事では、好き嫌いをしたり、箸の持ち方が乱れたりしたら、鍋敷きで肩や手を叩かれました。それ以外にも部屋が汚い、靴が揃っていないなど些細なことで叩かれたり、物を投げつけられるようになりました。私だけじゃなく、兄もです。私は可能な限り父親を避けるようになり、顔を合わすのは食事のときぐらいだったのですが、そこには母親もいたのに、母はすぐにその場を離れて、かばってくれませんでした」 高校生のとき、父親はいなくなった。 【~その2~は関連記事から】 取材・文/ふじのあやこ 情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
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