「仕事と家庭は別」という考え方が夫婦関係の”落とし穴”…今すぐにでも実践できる、夫婦関係改善に役立つ「ちょっとした気遣い」
コロナ禍以降、生活スタイルの変化に伴って夫婦の時間が増えた結果、熟年離婚が相次いでいる。離婚の原因を紐解いてみると、夫婦関係のほんのささいな不満に根ざしていることも少なくない。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 本連載では、離婚カウンセラーとしてこれまで約4万件もの離婚相談を受けてきた著者の新刊『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』(岡野あつこ著)より一部抜粋・再編集して、夫婦関係におけるトラブル回避のためのノウハウをお届けする。 身近な人間関係に対するコミュニケーション技術は夫婦間の問題のみならず、職場や家庭、子どもや介護にまつわる悩みの解決にも役立つはずだ。 『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』 連載第44回 『「愛してるフリ」を続けていると、本当に愛情が戻ってくる!?…夫婦関係を劇的に改善させる《フリの力》とは』より続く
会社と家庭を分けてはいけない
私は講演などで常々「会社と家庭を分けてはいけない」とお話ししています。 夫婦関係に悩んでいる人ほど、「仕事と家庭は別」と思いがちです。 会社であれば、部下にちょっとした仕事を頼んだら、「ありがとう」とか、「忙しいところ悪いね」などと、自然に気遣いをしているはずです。そういう言葉をかけないと、部下や同僚に不満を持たれるかもしれないと理解しているからです。 でも、そんな人ほど、家では気遣いの言葉をかけていないのです。 家でも気遣いをしなければ、パートナーから不満を持たれます。 家庭も会社と同じく、規模は小さくても一つの組織です。組織の中では、会社と同様に「横柄に振る舞ってはいけない」とか「パワハラをしてはいけない」という人間関係のルールが存在します。 そうしたルールを破ってばかりで、パートナーへの気遣いがなければ、相手からのあなたへの評価は下がって当然です。
「ちょっとした努力」が大切
会社より家庭を軽視するのは本来おかしなことです。会社は本当に困ったときには助けてくれません。それどころか、突然あなたをクビにするかもしれません。 一方、夫婦や家庭は困ったときこそ支えてくれるもの。夫婦関係が良好であれば、経済的に苦境に陥っても切り抜けることができます。 だから本来は夫婦関係のほうを大事にすべきなのです。会社での気遣いよりも、夫婦関係における気遣いをもっと増やすべきです。そうしないから夫婦関係がどんどん悪化していくのです。 「自分は浮気もしていない、一生懸命働いて家族を養っている。だから悪いところはない」と考える人もいるかもしれません。 でも、浮気しない、生活費を払うというのは、言ってしまえば「当たり前」のレベルの話です。それは当然として、その上に気遣いをどれくらい積み重ねてくれるか、を相手は見ています。夫婦関係を継続したいなら、そういう面での努力が必要なのです。 中高年の方だと、いまから性格や価値観を変えるのは難しいと抵抗もあるでしょう。でも、ちょっとした気遣い、気配りならできるはずです。 そのくらいのちょっとした努力、「愛しているフリ」だけでもかなり効果的、それだけでも夫婦関係は改善できるのです。 逆に、その程度の努力もする気になれないなら、もはや離婚したほうがいいかもしれませんね。 『“夫婦のトラブルの原因”はおおむね「2つ」しかない!当たり前なのに多くの人ができていない、夫婦関係改善のための「解決策」を提案!』へ続く
岡野 あつこ(夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー)
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