躍進を続ける“格安スマホ”、どうして破格の値段で提供できるの?
一般生活者への浸透が始まったMVNO
これまで、MVNOはSIMカードの取り扱い方や端末の設定方法などを熟知しているITリテラシーの高いユーザーを中心に契約者を伸ばしてきましたが、最近ではユーザー層にも変化がみられているといいます。 取材した楽天モバイルによると「最近ではITリテラシーの高い方だけではなく、家族を中心に20代、30代、主婦層へ広がってきている。女性の契約者も昨年後半から急激に増加している状況だ。また店頭にはご年配の方々も多くご来店いただいている」とのこと。同社では、近年65歳以上の高齢者によるスマートフォン利用が増加し、関心も高まっていることから、今後は出張申込サポートやスマホ初心者・高齢者向けのスマートフォンの活用法などをレクチャーする勉強会などを積極的に展開していくのだそうです。 このように、MVNOはそのコストパフォーマンスを武器に携帯電話市場の一大勢力となり、サービスを提供するMVNOも店頭での契約・設定サポートを手厚くするなどして、その勢いを加速させようとしています。携帯電話業界では、これまでNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクという大手キャリア3社が契約者の新規契約の争奪戦を繰り広げ、現在では市場の飽和により顧客満足の向上による契約者の囲い込みへと舵を切っている状況ですが、その目的は「MNP(モバイルナンバーポータビリティ)による他の大手キャリアへの顧客流出を避ける」というものでした。 しかし、楽天モバイルの説明にあるように、MVNOはすでに一般消費者にとって有力な選択肢となりつつある状況で、これは3社間の競争の中で契約数維持を目指していた大手キャリアにとって大きな脅威となるのではないでしょうか。今後は、「自分たちよりもはるかに月額コストが安いMVNOへの顧客流出を、どう食い止めるか」というテーマが、大手キャリア共通の大きな課題となりそうです。 (執筆:井口裕右/オフィス ライトフォーワン)