一時「1ドル158円」に迫るも再び円高に…年末にかけての米国の「金利上昇・株安」の現実味。米ドル円への影響は【国際金融アナリストが解説】
先週は日米の金融政策会合を受けて、一時158円近くまで一段高となるも、週末には米ドル安・円高に戻した「米ドル/円」。クリスマス週間である今週は小さな値動きが予測される一方で、「米金利上昇・米国株安の動きに要注意」とマネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏はいいます。その根拠とともに、今週の米ドル/円の展開予測をみていきましょう。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
12月24日~12月30日の「FX投資戦略」ポイント
<ポイント> ・注目された日米の金融政策会合を受けて、米ドル/円は158円近くまで一段高となった。ただ金曜日には比較的大きく米ドル安・円高に戻した。 ・今週はクリスマス週間で薄商いになりそう。ただここ数年は年末にかけて意外に大きな値動きが続いた。 ・12月に入り大きく米ドル/円上昇した分の反動を予想。今週の予想レンジは154~158円。
先週の振り返り…日米金融政策を受けて「米ドル/円」急騰
先週の米ドル/円は153円台で取引が始まりましたが、日米の金融政策を決める会合の結果を受けて上昇が加速。トランプ氏の米大統領選挙勝利後に記録した高値の156.7円を上回り、一時は158円近くまで一段高となりました(図表1参照)。 そのなかでもとくに、19日の日銀金融政策決定会合のあとから、米ドル/円は154円台から一気に157円を大きく上回るまで上昇が急加速。これは日銀の植田総裁の記者会見を受け、日銀の早期利上げ見通しが大幅に後退したため、との解説が多かったようです。ただ翌20日は、一時156円を割れるなど、最大で約2円と比較的大きく反落しました。 先週、米ドル/円が大きく上昇した動きは、基本的には日米金利差の米ドル優位・円劣位の拡大に沿ったものでした。ただ細かく見ると、19日以降一時158円近くまで一段と上昇したのは、金利差米ドル優位拡大から見てやや「行き過ぎ」だったのではないでしょうか(図表2参照)。 日本の金利は、19日の日銀会合後にそれほど大きく低下したわけではありませんでした。とくに金融政策を反映する短期金利は、先々週までの低下のほうが大きかったようです(図表3参照)。 こういった日本の金利の動きからすると、「早期利上げ見通しの大幅な後退の結果」と説明された19日以降の円急落は、金利差からのかい離が示すように「行き過ぎ」の可能性があります。以上のように、20日に比較的大きく米ドル安・円高に戻したのは、円急落「行き過ぎ」の反動の面も大きかったと考えられます。