フォードが日本市場から撤退して8年たった今でも“新車”が売られているワケは?
本国には注目に値するモデルも
月日がたつのは早いもので、2016年9月にフォードが日本市場から撤退して以来、気がつけば8年もの時間が経過した。そしてその8年間で、フォードの本国でのラインナップはずいぶんと進化したようだ。 【写真】日本から完全撤退して8年。2016年に日本で販売されたフォードの最終モデルと、現在北米で販売されている最新モデルの画像を詳しく見る(13枚) 2016年当時、フォード・ジャパン・リミテッドが取り扱っていた車種のなかで個人的に興味が持てたのは、大変失礼ながら「マスタング」と「フォーカス」ぐらいのものだった。しかし今、本国の公式サイトをのぞいてみると、そのラインナップには注目に値するモデルがけっこう多いことに気づく。 マスタングは知らない間にかなりシュッとした7代目にフルモデルチェンジされており、2021年に復活したクロスカントリーモデル「ブロンコ」は相変わらず超絶おしゃれなだけでなく、高性能モデル「ブロンコ ラプター」も追加されている。 ラプター(Raptor)とはフォードのハイパフォーマンスバージョンにつけられるネーミングで、それまではピックアップトラックの「F-150」と「レンジャー」に設定されていた。2022年に登場したブロンコのラプターは、通常モデルより約250mmワイドな特別仕立てのボディーに専用の足まわりなどを合わせ、そのうえで最高出力400HP以上の3リッターV6ツインターボエンジンも組み合わせたというゴキゲンなモンスターSUVだ。 また、2022年に北米と南米で発売されたコンパクトピックアップトラック「マーベリック」は、日本市場でもけっこう人気を博しそうなデザインとスペックであるように思える。
フォードの新車を販売しているのは?
とはいえフォードは前述のとおり2016年9月に日本市場から撤退してしまったため、それら魅力的なニューモデルも、正規輸入車として入手することはできない。 しかしJAIA(日本自動車輸入組合)の統計データを見ると、「フォードの新車」は今もなお、少数だがコンスタントに輸入・販売されている。具体的には2021年が633台で、2022年は421台、そして直近の2023年は299台であった。 これらの新車はどこの誰が、どうやって販売しているのだろうか──と考えたとき、思い当たるのは「フォード栃木」だ。 アメ車ファンの間ではおなじみの話だが、栃木・宇都宮に店舗を構えるフォード栃木は、フォード社が2016年に日本市場から撤退した後も「Ford」の看板を掲げ続け、新車販売とアフターサービスを続けてきた元正規ディーラー。それゆえきっとフォード栃木が、近年の統計データに上がってくるフォード新車の多くを販売しているに違いない──と思い、確認のため同社へ電話してみると、「残念ながら現在はフォード車の輸入はしていない」とのこと。なんと! 聞けばフォードのショールームは、すでにDSの正規ディーラーである「DS STORE宇都宮」に転換されているという。かつては注文があれば1台ずつフォードの新車を本国から輸入・販売していたが現在は行っておらず、取り扱いと在庫は中古車だけ──とのことだった。 ……ううむ。ではいったいどこの誰が年間数百台もの「フォードの新車」を、日本で販売しているのだろうか?