ブルース・ウェーバーの写真集から着想を得た「ウジョー」のラグジュアリー
西崎暢が手掛ける「ウジョー(UJOH)」が、2024年秋冬コレクションをパリで発表した。アメリカの写真家・映画監督のブルース・ウェーバー(Bruce Weber)がインスピレーション源となった。 【画像】ドレープの美しいスモーキングクロス
優美でエキゾチックな布使い
1980年代にウェーバーがDCブランドのために撮り下ろした写真集「Men & Women」からイメージを広げたという今シーズン。モデルが服をまとう所作や布の動き、そしてぜいたくな素材使いなど、写真に捉えられたあらゆる要素にウジョーが今シーズン表現すべきラグジュアリーを見出したのだそう。
上質なスモーキングクロス
特に注目のテキスタイルは、フォーマルなスモーキングクロス。19世紀に社交界の男性がたばこを吸う際に羽織っていたスモーキングジャケットのような上質な素材だ。 デザイナーの西崎は「自分たちは派手な生地を作っているわけではないですが、一点一点、4~5過程くらい様々な加工を施して、しなやかなスモーキングクロスに仕上げています」と語り、こだわり抜いたメンズフォーマルの素材をレディスウェアに落とし込んだ。ともすれば、堅いイメージに陥りがちだが、グレーを基調とするニュアンスカラーでソフトなイメージに仕上げている。
洗練されたカッティング
今シーズンもコレクションの軸となったのは、洗練されたカッティングに基づくウジョーならではのテーラードスタイル。「フォーマルな素材をたっぷり使った服に"包まれる"感覚がぜいたくだと感じたので、そのためのカッティングを模索しました」という言葉どおり、たっぷりと流動的な量感と、それとは対照的な構築的なテーラリングが印象的。フリンジのアイテムや、ボトムやドレスの重ね付け、袖と一体になったストール、タブリエのように重ねづけできるセパレートスカートなど、さりげない遊び心を感じさせる。
ウールとタフタの「機能的なレイヤード」
後半は、ナイロンタフタのシリーズが登場。艶やかな素材感が、マットな質感のウール素材とミックスされ、互いに引き立て合う。「個人的な好みでもあるのですが、秋冬は、やはりウールをメインにコレクションを組み立てています」。ウール素材を追求し、テーラードを軸に、それをあえて崩していくことで新しいテーラリングを提案する、ウジョーらしい世界観を感じさせるコレクションとなった。