【工場現場】脚立から降りた瞬間、上司が「危ねぇだろ!」…世間が知らない〈安全第一〉の切実さ
企業の工場や生産現場において生産ラインの設計や管理を行う仕事、「生産技術」。本稿では、生産技術職YouTuber“生産技術の馬”氏の著書『生産技術あるある』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、生産現場や工場勤務でありがちなことを紹介します。他業種の方でも思わず「あるある!」と共感してしまう内容です。
安全を舐めているとキレられる ~安全あるある
■パワハラに敏感な時代では珍しいほどの「厳しさ」 これは新入社員が特に気をつけなければならない内容です。工場では本当に怪我が多く、人が亡くなったりする事例もあるため、どんな工場も安全第一を掲げていると思います(実際には人の安全より製品の品質や納期が優先されてしまうことが多いですが)。そのため、特に現場では安全に関して非常に厳しく教育します。この厳しさが、今まで普通に暮らしてきた人にとってはギャップとなるのですよね。 私は新入社員の頃、脚立の使い方で怒られた経験があります。当時少し高いところで作業するため、脚立を用意して、脚立の一番上の平面の部分に立って作業していました。作業が終わって脚立から降りたときに、「危ねぇだろお前!」と怒鳴られました。私は当時「いやそんな危ないか?」と思っていましたが、そもそも会社のルールとして、脚立は一番上から2段目以降しか使ってはいけないということになっていました。 まずルール違反をしているので怒られて当然ですが、これは実際非常に危険なので私は現場の方にブチギレられてしまいました。今考えると、よくあんな危ないことをしていたなと思います。初めて工場に配属された新入社員は脚立を初めて使うかもしれませんし、脚立で起こった事故例なども知らないかもしれません。そういうことを教えてもらうと、いかに脚立での事故が多いかということがわかってくるので、そこからはしっかりと気をつけるようになります。 ■「安全のルールを怠るとどうなるか?」をリアルに想像できる伝え方がおすすめ 私は当時「そんなキレんでもええやん…」と思っていましたが、怪我をしてからでは遅いので本気で怒られていた方がいいと思います。 本気で怒られた方が印象に残りますし、なんであんなに怒るのだろうと自分で考えますからね。あれはいい勉強になったと思います。ただ安全に関することだからといってキレまくるのもよくないですが。 私のように多少舐めてかかっている人はキレられて当然だったと思いますが、真面目に作業していてたまたま危ないことをやってしまったときにキレられると、キレられた人はキレた人に怯えて余計動きが悪くなって怪我のリスクが上がるということも考えられます。 うまく注意するっていうことはなかなか難しいですが、安全に関して教育するときは、その作業がどれぐらい危ないかということを具体的に説明してあげるのがよいと思います。一番効くのは実際に怪我をしている映像を見たり、自分で経験したりしそうになったりすることなので、その場面を鮮明に想像させるということが重要ですね。