【工場現場】脚立から降りた瞬間、上司が「危ねぇだろ!」…世間が知らない〈安全第一〉の切実さ
フォークリフトが速くて危ない ~安全あるある
■原付並みのスピードで運転するベテランも。慣れた頃が一番危ない 工場ではパレットに載せた荷物を搬送するためフォークリフトを導入しています。私の勤務する工場では特に出荷部門で多くのフォークリフトが走っており、運転手は何年、何十年も運転しているベテランが多いのでフォークリフトの運転に慣れており、中には時速30kmという原付並みのスピードで構内を走っているフォークリフトも見かけます。 出荷部門にも様々な設備があるため生産技術者もそこへよく行くのですが、フォークリフトが速すぎるので若干恐怖を感じることがあります。運転手はベテランなので大丈夫だと思い込んでいるのでしょうが、全国の様々な工場でフォークリフトの事故が起こっているので、こういう慣れた人がスピードを出して事故を起こすのだろうなぁといつも見ていました。 歩行者もフォークリフトの動線を歩くときは十分注意するのですが、何回も接触しそうになったことがあります。フォークリフトにも死角があるので、たまたまそこを歩いてしまうと運転手から見えずに衝突してしまうという事故が本当に多いのです。そもそも構内では速度制限が設けられており、その制限速度は時速10kmなので時速30kmで走っていいわけがありません。ただ、早く荷物を運びたい運転手にとっては時速10kmというのは遅すぎるのでここまでのスピードを出してしまうのですね。 危ないため歩行者が通行禁止の場所も存在しますが、設備が近くにある限りはそこに行かないといけないので完全にフォークリフトと歩行者を分離することはできません。だからこそ、このフォークリフトの事故例については特にフォークリフトの運転手に改めて意識してほしいところですね。 ■無人フォークリフトなら事故リスクは下がるが… ちなみに、今はフォークリフトも無人で運転できるようになっており、私の工場も導入していました。無人のフォークリフトは人感センサーを搭載しており、人が近づいたら止まりますし、万が一接触してもその瞬間止まるようになっているため有人のフォークリフトよりは安全性が高いです。 しかし無人のフォークリフトは安全性を重視しなければならないので速度が非常に遅く、無人フォークリフトと共存していた有人フォークリフトの運転手はみんなイライラしていましたね。全て無人なら問題ないかもしれませんが、そんな莫大な投資ができる最先端の物流倉庫などそうそうありませんからね。 皆さんもフォークリフトの周辺を歩くときは十分注意しましょう。近くを通るときは運転手がわかるように声を出すのがおすすめです。 生産技術の馬 生産技術職YouTuber 大阪出身。神戸大学の大学院を卒業後、生産技術者として工場で勤務。大手電機メーカーと大手食品メーカー2社の工場で設備管理・設備更新等を行い、さまざまな規模の工場で経験を積む。2021年よりYouTubeで生産技術者へ向けて情報発信を行っている。