岩手から世界に羽ばたく「ヘラルボニー」 松田文登Co-CEOが語る地元の新店舗への思い
岩手めんこいテレビ
障がいのあるアーティストの作品を商品化し新たな文化を創造する会社「ヘラルボニー」(本社:岩手・盛岡市)。 2024年にパリでの受賞を機に海外進出を果たす一方で、地元・盛岡市の老舗百貨店カワトクに旗艦店をオープンします。 「アートライフスタイルブランド」として岩手から世界に羽ばたく「ヘラルボニー」の代表取締役Co-CEO松田文登さんに新店舗への思い を聞きました。 福祉を起点に新たな文化を創造する会社「ヘラルボニー」は、岩手県盛岡市に本社を置き、障がいのある作家のアート作品のライセンス事業を展開しています。 経営者は金ヶ崎町出身の双子の兄弟、岩手を拠点にする兄・松田文登さんと東京を拠点にする弟・崇弥さんです。 松田文登Co-CEO 「他の人だったら、次の日修復不可能なけんかも次の日は修復できる。そういう意味では楽、一緒にやっていて。2倍に広がる感覚」 ヘラルボニーにとって2024年は大きな飛躍の年でした。 文登さんは「色々な挑戦をワクワクしながらできた一年だった」と振り返りました。 盛岡市の百貨店・カワトクで2024年開かれたヘラルボニーのポップアップストアは、大勢の買い物客でにぎわいました。 契約アーティストの小林覚さん、佐々木早苗さん、工藤みどりさんも会場を訪れ、来店客と交流しました。 松田文登Co-CEO 「初めてヘラルボニーを百貨店で知る人たちは、フランスのブランドか、イタリアのブランドか、北欧のブランドかという質問が店頭で来る。障がいのある方たちのと説明すると、本当に意識や価値観が変わっていく。シンプルに作品としてすごいなと支援という文脈から、リスペクトに変わるスイッチを見ている」 ヘラルボニーは、障がいのあるアーティストの作品を商品化するだけでなく、様々な企業とのコラボレーションも積極的に行っていて、障がいのある人が、資本主義社会の中でお金を稼げる仕組みを作っています。 松田文登Co-CEO 「『障がい者アート』で検索をかけると、『支援』という文脈に全てのってしまう。私の役割は、本当に作家として、作品として評価されていく軸を作っていくこと」 2024年5月、ルイ・ヴィトンなどの有名ブランドを傘下に持つ世界最大のファッション複合企業が主催するイノベーションアワードで、グランプリに次ぐカテゴリ賞を受賞しました。日本の企業では初めての快挙です。 受賞をきっかけにフランス・パリに子会社を設立し、9月には海外で初めての展示会を開催しました。 松田文登Co-CEO 「世界のプラットフォーマーになろうと強く思っている。障がいのある方たちのアートがフランスだけでなく、アメリカ・シンガポール・インド・各国に色々な方々が存在していて、そういう人たちをエンパワーメントできるような会社になっていこうと思っている」 日本だけでなく世界中の障がいのあるアーティストたちを力づけようと、「ヘラルボニーアートプライズ」を2024年に初めて開催。 世界28の国と地域から約2000作品の応募がありました。 2025年のアートプライズには、2024年より多くの作品が寄せられています。 日本から世界へ飛び出した一方で、2024年は、地元・岩手への思いを強くした年でもありました。 文登さんは2024年10月に記者会見を開き、盛岡市の老舗百貨店・カワトクの1階フロアにあった店舗をリニューアルし、2025年春にヘラルボニーの旗艦店をオープンすることを発表しました。 記者会見で文登さんは「盛岡の地に新しいシンボルを。全国の百貨店の中で地元のブランドをど真ん中に据えるのはカワトクしかないのではないか」と話しました。 経営再建中のカワトクは全館改装計画を進めていて、1階の菜園通り側の一番目立つガラス張りの広いスぺースを「ヘラルボニー」のために用意しました。 内装工事や宣伝費などの資金を賄うため、共同でクラウドファンディングに挑戦しています。 第一目標金額の1000万円をクリアし、現在、次の目標の3000万円を目指しています。 松田文登Co-CEO 「本社が岩手というところはすごく大切にしていきたい。カワトクはどうなるんだろうと不安になっている人たちは結構いる。だんだん百貨店の役割が変わっている時に色々な人たちが集うコミュニティーのハブになる、幸せがそこに作られる、そんな場所に拡張していていくような、未来の新たなカタチを提示できるような場所にできたらうれしい」 ヘラルボニーのショップに、ギャラリーやカフェを併設する新しいエリアの名称は、「ISAIPARK(イサイパーク)」に決まりました。 ロゴの文字は、文登さんと崇弥さんの兄で自閉症の翔太さんが書きました。 松田文登Co-CEO 「ISAIPARKが岩手という文脈を飛び越えて、世界中の作家・日本中の作家が訪れて、ライブペインティングをしているとか実際に出会える状態にしたい」 兄・翔太さんに向けられてきた冷たい視線を変えたいとヘラルボニーを立ち上げて2025年で8年目。 2025年にかける思いを書いてもらいました。 松田文登Co-CEO 「『広場』にしたんですけど、ヘラルボニーが目指すのは広場的な感覚に近い。今回挑戦するISAIPARKも広場的存在になったらいい。それがあることでそのエリアに来られる人が存在している。そこには誰もが集っていいんだという状態がある。ぜひ皆さんに遊びに来てもらいたい」
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