「最近は『元首相の孫だったの?』と驚かれます」宮澤エマは10年のキャリアを積んで“実力派女優”の道へ
この仕事は一夜漬けではできない。特に三谷幸喜作品は
――ギリギリのところでどうにかなってきたタイプだとお話されていましたが、このお仕事を始めてから、ピンチに陥ったことは。 宮澤:それがこの仕事は、今までの論法が通用しないんですよ。ついつい先延ばしにしたくはなっちゃうんですけど、でも、準備期間をどれくらいするかによって、結果が変わって来るという「成功体験」が実際に多いんです。たとえば外国語とか方言とか、一夜漬けじゃどうにもなりません。あと、三谷さんのようにアドリブを求められる作品も、用意していたものと違うものを求められたときに、どれだけ返せるかは、より多くの準備があればこそなんです。とにかく三谷さんの現場は、予想だにしなかったことが出てくるので(苦笑)。 ――三谷さんとは、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(脚本)、舞台『日本の歴史』など、幾度も組まれていますが、現在は『スオミの話をしよう』が公開中です。宮澤さんは、要所要所で登場する神出鬼没な女・薊(アザミ)役です。本作はクランクイン前にリハーサルもあったそうですが、それでも現場でかなり変更があったとか。現場に行って初めて聞く設定や演出もあるのでしょうか。 宮澤:はい。セリフが変わることはあまりないんですけどね。三谷さんの台本って、すごくシンプルな会話劇で、あまりト書き(登場人物のセリフ以外の動作や行動の指示)がないんです。なので、どういった動きになるのかは、その場に行かないとわかりません。確かに今回、リハーサルはありましたが、三谷さんも、クランクインして実際にカメラの前で動いている私たちを見て生まれてくるものがあるので、そこでポン!と言われることが、結構あるんです。それが「いや、思ってたのと全然違う」と。 ――聞いているこちらは笑っていられますが、実際に演じるみなさんは大変ですね。 宮澤:それも準備してきたことと、180度違うことを要求されることが多いんですよ。面白くできないと、自分が滑った、私が面白くない人だ、みたいになってしまうので、必死です(苦笑)。最終的に、より面白くなるために、準備は必要ですね。