「最近は『元首相の孫だったの?』と驚かれます」宮澤エマは10年のキャリアを積んで“実力派女優”の道へ
“求めてもらう自分”と“本来の自分”の間で混乱したことも
――というと。 宮澤:日本とアメリカを行ったり来たりしたり、転校を繰り返してきたこともあって、その場では何がベストなのかを、結構すぐに察知してブレンドしてしまうんです。特にバラエティ番組の台本のないアドリブ合戦のような場では、「ちょっとプライドの高そうなお嬢様キャラでやってほしいんだな」とか。(竹下登元首相の孫として一緒に出演することの多かった)DAIGOさんじゃないけど、“消費税”みたいなネタが必要なのか、とか。求められていることが理解できちゃうんです。でも……。 ――でも。 宮澤:求めてもらっていることに沿ってやりたい自分と、一生懸命に祖父が築き上げてきた名前を、自分の親も生きている時代にあまりにもイメージが崩れるようなことはしたくないという自分、そしてさらに本来の、普通の私生活での自分の融合がよく分からなくなってしまって混乱してしまったんです。
このところは「宮澤元首相の孫なの?」と驚かれる
――バラエティ番組からは割と早めに卒業して、舞台に活動の場を移していった印象です。 宮澤:舞台でキャリアを始めさせていただけたことで、自分に足りない部分を感じられましたし、「早く上達しなきゃ!」と思えました。舞台では、首相の孫だろうがへたくそならへたくそと書かれて仕事が来ません。逆に言えば、自分が頑張れば「ちゃんとオーディションで選ばれたんだな」と見せられる場でもある。それに実際に宮澤元首相の孫だからと言ってお金を出して舞台を観に来る人なんて、いませんよね(笑)。「話題性じゃない?」というネガティブから入ったことは、ポジティブに転換していけるという意味で良かったなと思います。 ――今や、ドラマや映画といった映像分野でも、女優・宮澤エマさんとして大活躍です。 宮澤:最初からピュアにお芝居だけでデビューできていたら、と思う自分がいなかったわけではありませんけど、でもタレントとしての活動がなかったら出会えていなかった人や、知ってもらえなかった人もいる。やっぱり名前を知ってもらうことが、最初ですから。そこがあったことによってここまで来ているので、後悔はありません。それにこのところ、ドラマに出るようになってから、「宮澤元首相の孫なの?」と言われるようになったんです。たったこの数年で、「首相の孫」のイメージが消えたのだとすれば、ここまで築き上げてきたことは大事にしつつも、そこに固執せず、次の10年はまた全然違う人になっていたら面白いなと思っています。