「4代目」ベントレー・フライングスパー・スピードへ試乗 V8 HVで782ps 視覚的にも欲しい新世代感
V8 HVの4代目は世界最高のサルーンか?
世界最高のサルーンかもしれない。ハイブリッドの4.0L V型8気筒エンジンを搭載した、ベントレー・フライングスパー・スピードを運転したら、そんな事を考えた。以前から素晴らしいモデルといえたが、従来以上のエネルギー効率も獲得したからだ。 【写真】4代目 ベントレー・フライングスパー・スピード V8 HVで782ps 競合クラスのサルーン (117枚) AUTOCARの読者ならご存知の通り、強化される一方の環境規制に合わせて、6.0L W型12気筒エンジンは生産を終了。それと入れ替わるように、新しいV8エンジンが導入されている。先行したのは、2ドアのコンチネンタルGT スピードだった。 新しいパワートレインは、W12に並ぶ豊かなトルクと、洗練性が追求されている。そして、4ドアのフライングスパーでも今後は選べる。今回試乗した、スピードのように。 エンジン単体の出力は、599ps。8速デュアルクラッチATの手前側に、190psの駆動用モーターが挟まれており、システム総合での最高出力は782ps。最大トルクは101.8kg-mに達する。以前のW12は635psと91.6kg-mだったから、大幅な増強といえる。 その結果、フライングスパー・スピードは、歴代最強のベントレー・サルーンとなった。このエネルギーを受け止めるため、標準で四輪駆動となる。 駆動用バッテリーは25.9kWh。実は、初代日産リーフより容量が大きい。電気だけで最長75km走れると主張され、カタログ上の燃費は71.5km/L。現実的にこの数字へ届くことは難しいが、都心部や住宅街を、ガソリンを燃やさず走れることは間違いない。
運転すれば世代交代という表現へ納得
同社は新世代だと主張するフライングスパーだが、3代目のフェイスリフトだと受け止められても疑問はないだろう。スタイリング上は、フロントグリルとバンパー、ボディのディティールが僅かにリフレッシュし、新デザインのホイールを得た程度だからだ。 4代目のプラットフォームは、ポルシェ・パナメーラも採用する、フォルクスワーゲン・グループのMSB。これは、先代でも同様だった。見惚れるようなインテリアも、化粧トリムを除いて殆ど変わらない。 しかし、高度なハイブリッド技術を搭載するに当たり、技術的には大幅なアップデートが施されている。車両を制御するソフトウェアは刷新。それに合わせて、運転支援システムもバージョンアップされている。 走り出せば、世代交代という表現に納得。通常は駆動用モーターだけで、ほぼ無音に発進する。静けさと滑らかさは、ベントレーというブランドに相応しい。市街地では特に。 EVモードを選択していれば、アクセルペダルの開度が75%以下までなら、エンジンは始動しない。140km/h以下まで、電気だけで加速できる。荒れた路面ではタイヤからのノイズがキャビンへ届くが、舗装したてなら本当にひっそり静かだ。