リクルート「エリクラ」、利用者に“不法投棄誘発”か 会社側に見解を問うと「サービスのあり方改善」へ
■「ごみを持ち帰るように」と指示された ここで冒頭の「不法投棄」に話を戻そう。シンジさんの足元にあったごみ袋はマンションを清掃したときに出たものだ。このごみの処理方法について、シンジさんはエリクラの仕組みには多くの問題があると指摘する。 エリクラのアプリ内にある依頼主からの注意事項では、掃除で出たごみは働き手自身が持ち帰り、その後は居住地の自治体のルールに従って処分するよう依頼されることが多い。 これに対するシンジさんの懸念はこうだ。
エリクラの仕事で出たごみは産業廃棄物、もしくは事業系一般廃棄物に当たるので、その処理には費用がかかるのではないか。また、廃棄物の持ち運びは収集運搬の許可を持つ者しかできない。つまり、ごみの排出者でもない自分が無許可で持ち帰って自宅前のごみ集積所に捨てることは「不法投棄に当たるのではないか」というのだ。 実際にはごみの種類や排出者についての規定は各自治体が行うことになっている。ただマンションや駐車場の管理事業、あるいは清掃事業によって生じたごみは産業廃棄物、または事業系一般廃棄物とみなされる。私が取材した限りでは、これらのごみは収集運搬業者に有料で処理を委託するなどしなければならず、家庭ごみとして捨てた場合は不法投棄になるといったルールを設けている自治体が多い。
また、過去に厚生省(当時)は、清掃業者がその場にあったごみを集めた場合の排出者は「(清掃業者ではなく)事業場の設置者または管理者である」という旨の通知を出している。この場合はシンジさんが指摘する通り、許可のない清掃業者がごみを持ち運ぶと、違法とされるおそれがある。この通知は自治体への事務権限の委譲に伴い廃止されたが「国としての見解はおおむね変わっていない」(環境省廃棄物適正処理推進課)。 私は前回の取材で話を聞かせてくれた男性に、ごみの処理方法について聞いてみた。男性が住む自治体では、たとえ少量でも産業廃棄物はもちろん事業系一般廃棄物も家庭ごみとして捨てることは禁止されていたが、男性は「知らなかったです。自宅のごみステーションに捨ててました」と驚いていた。