Z世代に刺さるふるっぱー 【山崎あみ コラム音楽の森】
アイドルブームが続く中、勢いに乗っているのが女性7人組「FRUITS ZIPPER」(略称ふるっぱー)です。Z総研の調査「Z世代が選ぶ2024年下半期トレンドランキング」で「流行(はや)ったアイドル」部門1位に選ばれました。 結成は22年。間もなく、楽曲「わたしの一番かわいいところ」がTikTokを中心にバズを起こしました。この曲の魅力は、自己肯定感を高めてくれる歌詞です。〈わたしの一番、かわいいところに気付いてる そんな君が一番すごいすごいよすごすぎる!〉といった言葉から押し寄せてくる「私は当たり前にかわいいですけど何か?」ぐらいのマインド。その強さが刺さるファンが多かったのかなと思います。今年の日本レコード大賞優秀作品賞受賞曲「NEW KAWAII」も〈わたしこのままでもいいじゃん〉と歌います。 この流れは、ふるっぱーだけではありません。彼女たちと同じ事務所アソビシステム所属、前出の調査「流行ったアイドル」部門2位の「CUTIE STREET」の人気曲は「かわいいだけじゃだめですか?」で、「流行った曲」部門では1位でした。さらに、NHK・BSの番組で先日、視聴者からのリクエストが多いグループとして、ふるっぱーと共演した「超ときめき♡宣伝部」の今年のヒット曲は「最上級にかわいいの!」。人気急上昇中のガールズグループたちが、かわいいを全面に出した曲で支持を集めているんです。 裏を返せば、今の世の中、自己肯定感がとても低いという人が多いのかもしれません。アイドルたちの楽曲を聴いて「私もそういうマインドを持っていいんだ」と背中を押してもらっているのではないでしょうか。ちなみに、ふるっぱーの名は「実を結ぶ」を意味する「FRUIT」と「元気を与える」という意味で「ZIP」を組み合わせたそうです。 実はかわいいだけでなく「ど」がつく実力派。月足天音(つきあし・あまね)さんはかつてHKT48に所属。一度は「私はアイドルに向いてないかも」と卒業しましたが、再び夢に向かいました。鎮西寿々歌(ちんぜい・すずか)さんは2009年からNHK・Eテレに出続けていて、何でもできる。櫻井優衣(さくらい・ゆい)さんは13年から四つのグループを経ての今。歌唱力抜群の仲川瑠夏(なかがわ・るな)さんも別グループを経験しています。ダンスが武器の真中(まなか)まなさんはエンタメレストランのパフォーマーから転身。松本かれんさんは信じられないほどかわいい声を出す一方で音楽大のピアノ科出身です。ドイツ出身の最年少、早瀬ノエルさんは3・5カ国語(日、独、英語と簡単なフランス語)を話せて、パソコンで楽曲制作もする。努力と実力を兼ね備えたラスボスが集まったような7人です。 【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 52からの転載】 山崎あみ(やまざき・あみ)/1997年生まれ、東京都出身。音楽大卒。モデル。interfm(東京)「MUSIClock+」(金曜午前7時)およびJFN制作FM番組「みゅ~じっくろっく」DJ。YouTube番組「山崎あみ『うるおう』リコメンド」(略称うるりこ。共同通信社制作)出演。