日産とホンダの経営統合で暗躍する「経済産業省」 “負け組”同士を統合させて時間稼ぎをするだけの愚策 古賀茂明
■日本メーカー「単独」ではBYDやテスラと競えない 24年9月17日配信の本コラム「マスコミが報じる『EV懐疑論』の本質 『HV』バカ売れでもトヨタが一人勝ちできない理由」で書いたとおり、世界の自動車市場におけるEV化の流れは止まらない。そして、日本メーカーはこの流れから完全に取り残され、ほぼ挽回は無理だ。 中国の自動車大手、比亜迪(BYD)の24年の世界新車販売台数が前年比41%増の427万2145台だったと発表された。PHV乗車用の販売が7割増加したことが大きいが、EV乗用車も12%増の176万4992台と増えている。EV専業の米テスラ社の世界新車販売台数は前年比1%減の178万9226台で、BYDはこれにほぼ並んだわけだ。今の勢いだと、25年には、EVでテスラを抜き、PHVを入れた世界販売は500万台の大台が視野に入る。 ガソリン車中心のホンダは24年にすでにBYDに抜かれた可能性が高いが(ホンダの23年度の販売台数は410万台)、今年はその敗北が決定的になるだろう。 ちなみに、トヨタのEV販売は、遅々として拡大せず、26年の目標台数150万台を100万台に下げたものの、24年のバッテリーEV(BEV)の販売台数は10万台を超えるのが精一杯で、15万台には届かないと見られる(BYDやテスラなどはほとんどリアルタイムに販売台数を発表するが、トヨタなどはEVの数字がわかるのが嫌なのか発表が遅いので、現時点では24年の数字はわからない)。 日本市場全体を24年11月の数字で見ると、このうち広義のEV(BEV+PHV)のシェアは3.0%で、PHVは前年の1.4%から1.5%に増加した一方、BEVは1.9%から1.5%に減少した。メーカー別では輸入車合計(統計上の制約で合計の数字しかわからない)が3062台で最多となり、国内メーカーでは、日産が2498台で首位。前月3位の三菱は2479台を販売し、2位。3位に下落したトヨタは1743台と精彩を欠いている。 それぞれの台数の桁数の小ささには、ため息が出るばかりだ。 どんなにあがいても、日本メーカーが「単独で」BYDやテスラと競うのは難しい。 では、どうすれば良いかというと、もはや中国企業との連携しか道はないというのが正直なところだ。現に、日本唯一の生き残り自動車メーカーであるトヨタの動きは、それを示している。