【プリンス東北プレーオフ】PK戦でGK田代が2発ビッグセーブ!遠野が野辺地西下し4年ぶりのプリンス東北復帰
高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2024プリンスリーグ東北 プレーオフ(参入戦)は最終日の参入決定戦が12月16日、松島フットボールセンターにて2試合行われた。2試合同時刻キックオフだったが、ピッチ1では岩手県1位の遠野高と、青森県1位の八戸学院野辺地西高が対戦した。 遠野は1回戦福島ユナイテッドFC(福島県2位)に3-1、2回戦東海大山形高(山形県1位)に2-1といずれも逆転勝利で勝ち上がってきた。野辺地西は1回戦はシード、2回戦は東北高(宮城県2位)に3-0で勝利し参入決定戦へ勝ち上がった。 共にあと一歩でプリンスリーグ東北参入を逃す年が続き、互いにアップの時から勝ちたい気持ちを前面に出す緊張感のある雰囲気となったが、序盤にゲームは動いた。開始早々にDFライン背後に抜け出しペナルティエリアに進入した遠野FW照井颯人(3年)が倒され、PKを獲得。3分照井は落ち着いてPKを決めて、遠野が先制に成功した。 その後は毎年青森山田高と強度の高い試合を県高校総体や選手権県大会決勝で見せている野辺地西の攻撃の勢いが徐々に増し、ロングスローやセットプレーから決定機をつくり出す。そして20分、コーナーキックの決定機からクロスバーを叩いた後のこぼれ球を野辺地西DF田村蓮琥(3年)がヘディングで押し込み、1-1の同点とする。 これで勢いづいた野辺地西はクロスからの攻撃や、セットプレーなどで決定機をつくるが、追加点は奪えず、前半は1-1で終えた。 後半も入りは野辺地西ペース。キャプテンFW堀田一希(3年)とFW成田涼雅(3年)が勢い良くゴールに迫り、ロングスローやセットプレーから決定機もつくったが、遠野もキャプテンMF馬場大瀬(3年)をはじめ、DF谷地稜生(3年)、DF菊池晃太(3年)らが体を張った守りを見せ、「後半攻められる時間帯多くて、そこで自分たちが頑張って守らないといけない時間が続いたんですけど、集中してみんなでゴール守って、後半は0で抑えれたところが良かった」と振り返ったGK田代謙真(3年)も落ち着いたセービングを見せた。 試合終盤は遠野もいくつか決定機をつくり、88分には野辺地西FW成田が2回目の警告で退場となったため数的優位となったが、野辺地西も安定感のあるGK喜村孝太朗(2年)、その後PK戦要員として入ったGK島川侑大(3年)をはじめ、田村とDF奈良良祐(3年)も力強く相手の攻撃をはね返し、1-1で後半終了。プリンスリーグ東北参入チームはPK戦で決められることになった。 ここで活躍を見せたのは遠野GK田代だった。野辺地西1人目MF阿部莞太(2年)のPKに対し、「まず1本目は元々左に飛ぶと考えていて、それも直感でした。今まで練習してきた中で、相手の癖だったりとか、あと相手を誘導するという形で左に蹴らせたというのはあります」と振り返った通り、見事に相手のコースを読んでセーブした。遠野は照井と馬場が順調にPKを決めていく中、野辺地西は2人目MF芋田脩南(3年)のPKも枠をそれてしまう。遠野は3人目MF今淵雄太郎(3年)が左ポストに当てて外してしまったが、その後の野辺地西3人目DF藤田真翔(3年)に対しては、「最初は逆の方に飛ぼうと思ったんですけど、今までの経験もあって、いや、やっぱりこっち(最初考えた方向と逆方向)だなと思ったら、そっちの方にボールが飛んできたので止めるだけでした」と田代がまたもセービング。遠野は4人目菊池がしっかり決めて、PK戦3-0で勝利。4年ぶりのプリンスリーグ東北参入を決めた。 この大会を指揮した遠野内田和茂コーチは「もう本当に3年生が頑張ってくれて、その一言に尽きます」と3年生の頑張りに目頭を熱くしていた。PKを2本止めた田代については「選手権も(決勝・専大北上戦が)PKで悔いが残るところがあったと思うんですけども、特に相手のPKの情報が無かったので、彼の本能というか直感でやってくれたと思います。後半立ち上がりで彼が最後スーパーセーブを見せてくれてたので、その自信というか、その気迫が最後相手にも伝わったと思いますし、本人がそこを出し切れたんだと思っています」と称えた。田代本人も「選手権では1本も止められていないので、自分たちのためもそうですし、後輩たちが来年頑張ってほしいなという気持ちがあったので、もう今度は絶対に止めないといけないという気持ちで臨んでいました」と気持ちのこもったプレーが2本のPKストップにつながったことを喜んだ。 来季のプリンスリーグ東北について内田コーチは「常に東北レベルの相手とやれますし、3年生中心のチームから新チームになり、また1からメンバー、チーム作りをしなければいけないところですけども、そういった厳しい戦いの中で、しっかりチームの中で切磋琢磨して、よりレベルの高いチームになれるように頑張りたいと思います」と良い競争をさせながら、強豪相手の試合の中で選手を成長させようと意気込んだ。この試合先発出場し、来季プリンスリーグ東北を戦うことになったFW宇夫方崇太(2年)は「遠野高校のスタイルであるパスサッカーを継続して、自分たちの代の良さを出して、個人としては1人で打開できるような選手になれるように頑張りたいと思います」と意気込みを語った。 一方、今年もあと一歩でプリンスリーグ東北参入を逃した野辺地西三上晃監督は「先制されて、よく追いついたなというところと、あとは退場者が出て苦しいところを最後しのいでというゲームで、振り返れば本当にによく最後まで走りきってくれたな、頑張ってくれたなというのがまず一番の感想です」と最後まで全力を尽くして戦った選手たちを称えた。 また来季もこの舞台に上がって、プリンスリーグ東北参入を目指すことになるが、「われわれは選手権に出場するところを鑑みれば、やっぱりリーグ戦を県リーグじゃなくて、このプリンスリーグ東北に上げていかなければいけないっていうところが、もちろん一番重要な部分ではあるんですけど、またそれが叶わなかったので、もう1年またしっかり準備して、この舞台に戻ってこれるように頑張りたいと思います」と三上監督は次こそプリンスリーグ東北参入を成し遂げ、悲願である青森山田を倒しての選手権出場を見据えていた。 (文・写真=小林健志)