広告界のガリバー電通の新しい取り組み
社内横断のプロジェクトAI MIRAI
この1~2年、生成AIが脚光を浴びて、この分野への注目度もかなり上がっている。AI MIRAI発足当初からプロジェクトリーダーを務めてきた児玉拓也統括に話を聞いた。 「今私たちのプロジェクトは毎週、AIに関して割と濃い技術的な話をする場を設けているのですが、その参加者だけでも大体毎週30人くらい。プロジェクトへの参加者ということでは50~60人になっています。どんどん増えていますね。 今我々が一番力を入れているものとしては、例えば電通デジタルが開発している∞AI(MUGEN AI)Adsというのがあります。デジタル広告の運用に特化したツールですが、メッセージの発見からクリエイティブを自動で生成することもやり、さらにその効果を予測して、どう改善したらいいかまでサジェストしてくれます。 あとは、∞ AI Chatですね。話しかけると答えてくれるというチャットボットを簡単に作ることができる。Q&A的なチャットボットや、あとはキャラクターの人格を与えて、対話ができるような、そういったボットなどをすごく簡単に作ることができるようなものになっています。これを搭載したロボットはCHABOTというサービスとして既に実用化されており、店頭やイベント会場に置いてもらうという使われ方をしています。 あるいはスマートインタビュアーというもので、インタビュー調査をAIが代わりにやってくれるというものです。『購入した理由は何ですか。購入してどう感じましたか』といったインタビューが、これを使うと何千人もの人にできます。 電通グループだと今年1月1日に社名をISID(電通国際情報サービス)から電通総研に変更したコンサルティング兼システムインテグレーション会社があって、社内チャットボットサービスを開発・販売していたりします。電通グループのいろんな会社で、デジタル広告やシステム開発など様々な領域でAIを使ったソリューションの提供を始めている状態です。一昔前と比べると、AIは使うのが本当に簡単になっているので、どんどん新しいアイディアが出てくるという感じですね。 AIについては毎週、新しいニュースがあるので、先ほど申し上げた週1回の会議というのは、こんなことが今週あったと共有したり、それぞれのグル―プ会社が何をやっているかとか、そんなことを話し合う場になっています。生成AIはクリエイティブに近い部分もあると思うので、会議に参加するのは、そういうことへ興味が高いメンバーが多いですね」 生成AIについての社会的関心の高まりとともに、懸念の声も聞かれるが、それについてはどう考えているのだろうか。 「AIは今いろんな意見がありますけれど、もう世に出ている以上はうまく付き合っていくしかない。近い将来、必ずみんな1人1人が使っていくものになってくると思うのですね。私も今仕事の中でいろんなAIを使うことが多いですし、それはもう今後は当たり前になっていくと思っています」(児玉統括)