阪神・鳥谷のスタメン外しの是非
鳥谷ショックにチームが団結した……連敗は「5」で止まったが、ことはそう単純なものではない。 阪神の鳥谷敬内野手(35)が24日、マツダスタジアムで行われた広島戦のスタメンから外れ、代わって大和が「8番・ショート」で出場した。今季は、打率.231、6本塁打、28打点と大不振。試合後に金本監督が、鳥谷を名指しで叱責する機会も多く、最下位に低迷するチームの象徴になってしまっていた。 2012年の開幕戦から5年に及んで続いていた連続試合フルイニング出場は、歴代4位の667試合でストップ。ちなみに連続試合フルイニング出場記録は、1位が1492試合の金本知憲氏である。だが鳥谷は、原口の2点タイムリーで逆転に成功して、さらに6回二死満塁と続くチャンスに代打で出場。二塁の菊池の前に飛ぶ詰まった打球ながら、広島守備の乱れもあってラッキーなタイムリーを放つと、そのまま守備にもつき2004年9月11日の横浜戦から続いている歴代3位の連続試合出場は1702試合に伸ばして継続することになった。 これまで厳しい野次を飛ばしていたファンも、鳥谷の代打を大きな拍手で迎え、タイムリーを打った後に守備につくと、鳥谷コールが起きた。8回にも、一死満塁で鳥谷に、この日2度目の打席が巡ってきた。鳥谷は押し出しの死球で歩き、貴重な追加点を奪うことにも貢献した。 試合後、金本監督は、鳥谷と2、3回、直接面談を繰り返した末の決断だった背景を明らかにした。 「メンタル的なこともあったし、調子そのものも、外れることが本人のためでも、チームのためでもね。最後は、これ以上、鳥(鳥谷)をさらし者にするわけにいかないし、もう少し時間をおいて、ベンチから見るとか、気持ちの面で前向きなものが出てくるまで時間をおいたほうがいいかな、と。彼は、まだ若い。35歳でしょ。ベテランじゃなく、中堅。体も若いからね。ただフル出場は、モチベーションのためにできる限りは続けてやりたい」 実は、鳥谷のスタメン落ちは、5月から首脳陣の間で検討されていた。それでも金本監督は、2番に打順を固定して復調を待ち、その後、直接会談を何度か持った。自ら連続フルイニング出場の世界記録を持ち、記録の重要性を誰よりも知る金本監督だからこそ我慢を続けたが、一向に状況が改善せず、スランプのないはずの守備でもミスが目立ちはじめたため、フロントの了承を得た上で、この日、スタメン落ちの決断が下された。 金本監督の我慢に我慢を重ねてのスタメン外しの決断の是非には、議論の余地はないだろうが、92試合も先発出場を続けさせた、そのタイミングについては“遅い”との声もある。 「ここまで外すタイミングはいくらでもあった。下半身に粘りがなかったし、鳥谷を敗戦のスケープゴートのようにするならば、その前に、もっと早く心身ともにリフレッシュさせるべきだった。金本監督は、我慢しすぎた。しかも、西岡がアキレス腱断裂でチームを離脱した後に外すのは、なおさらタイミングが悪い」 ある球界OBは、そんな感想を口にしていた。