米大統領選挙戦でハリス氏に失速感
オバマ氏が激戦州で活動
ハリス陣営は、激戦州で黒人男性の支持を高めるべく、活動を強化している。そこで期待されているのが、2008年の大統領選で黒人票の95%を獲得したオバマ氏だ。オバマ氏は22日に、この日から事前投票が始まる激戦州ウィスコンシン州に入り、ハリス氏に投票するよう黒人有権者に訴えた。ウィスコンシン州では今年4-6月の黒人の失業率が5.6%と、同州全体のほぼ2倍に達している。こうした経済環境の厳しさが、黒人男性の民主党離れを促している。 また、ウィスコンシン州では黒人有権者の投票率が急低下している状況を食い止めることも民主党にとっての課題だ。マーケット大学法科大学院の調査によると、2020年の大統領選で、黒人が多数派を占めるウィスコンシン州・ミルウォーキーの選挙区では投票率が58%にとどまり、オバマ氏が再選を果たした2012年の77%から大きく低下した。 オバマ氏は、ウィスコンシン州に続き、今後、激戦州のミシガン州、ジョージア州でも選挙集会を行う予定だ。
最終結果が明確に見通せないまま選挙当日を迎えるか
11月5日の選挙が近づく中、選挙結果を大きく変えるようなオクトーバー・サプライズも起きていない(コラム「米大統領選前にオクトーバー・サプライズはあるか?:イスラエルのレバノン地上作戦など地政学リスクにも注意」、2024年10月2日)。このまま、ハリス氏がやや不利な状況ながらも最終結果が明確に見通せないまま、選挙当日を迎えることになるのではないか。これは、選挙結果を受けて金融市場が比較的大きく動きやすい環境と言えるだろう。 (参考資料) "Obama Heads to Wisconsin in Trump-Harris Battle for Black Voters(黒人男性の「ハリス離れ」食い止めへ、オバマ氏が激戦州訪問で支援)", Bloomberg, October 23, 2024 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英