オール電化住宅の光熱費対策:電気自動車とV2Hを導入、年間20万円の削減に
●災害時も在宅避難が可能になるメリットも大きい
災害対策としてのメリットもあります。蓄電池と電気自動車を合わせると71kWhの電力が。これだけあれば、停電時でも3~5日の自立生活が可能です。発電の多い時期ならば、数か月間、普段と同じ生活を送ることも可能です。 耐震性の高い平屋と自立できる電気設備は相性がよく、犬を飼っているわが家にとって、長期の在宅避難が可能となるこの組み合わせは、大きなメリットになります。
蓄電池の容量を増やすより正解だと思った4つのメリット
電気自動車とV2Hを採用する以外に、蓄電池を追加して蓄電力を増やす方法もあります。しかし、次の4つの理由から前者の方がメリットは大きいと判断しました。 1.電気自動車の蓄電池はkWhあたり8万円と、圧倒的に安い(※家庭用蓄電池は、経済産業省が定めた2020年の目標価格でkWhあたり18万7000円) 2.ガソリン代の削減効果が大きく、蓄電池増強では同程度の効果はでない 3.蓄電池は補助金が少なく回収期間が大幅に長期化する 4.17kWh以上の大型蓄電池は消防への届出が必要でハードルが上がる これはあくまでも筆者の家のケース。もし、日中は電気自動車で外出していることが多いご家庭だと、V2Hを設置せず、蓄電池の容量を増やすという、選択肢もあるかもしれません。
現時点では電気自動車とV2Hが最善の選択肢
ここまで「電気自動車(EV)」のよい点ばかりを説明しました。しかし、導入しメリットを享受している現在でも、懸念する点がいくつかあります。本当に電気自動車でよいのか? ということです。 満充電で400kmを走行できるため、日々の外出で不便を感じることはありません。遠出でもサービスエリアの充電設備は待ち時間なく使えているため、今のところは大きな問題はありません。 とはいうものの今後、電気自動車の増加にともない、充電設備不足にならないかという懸念があります。
●電気自動車のリセールバリューはどうか?
新車購入価格は、補助金を含めれば同等クラスのHV(ハイブリッド)車と同等です。しかし、数年後に乗り換えとなったときにリセールバリューが同等かはわかりません。4年で投資コスト回収の皮算用に変化が出るかもしれません。
●電気自動車への課税方針は変わらないか?
国をあげて電気自動車の普及に取り組んでいる現在、税金面ではかなりの優遇を得ています。とくに自動車税は排気量0のため1L未満の扱いです。一方で揮発油税や環境税などの議論が混迷をきわめているため、今後、税制面での扱いがどうなるかわからないという印象を持っています。 電気代の高騰から端を発した電気自動車・V2Hですが、電気自動車にまつわる懸念点も多く決定には迷いもありました。しかし、この結果から、現時点で「電気自動車・V2H」と同等の「経済的な効果」「災害対策効果」を期待できる仕組みはないと思っています。
上地智也