ロッテ・佐々木朗希インタビュー 不動心の105球 「あの前に打ち合わせていたんです」
咄嗟のポーズが快挙の一因
27人目の打者から三振を奪って完全試合&日本タイ記録となる1試合19奪三振を同時達成。27個目のアウトには、佐々木朗希の冷静さが光った
自己最速タイの164キロがミットに突き刺さる。直球を主体にフォークを交え、次々と打者のバットが空を切り試合を、いや球場を支配した。4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)。28年ぶり史上16人目、21世紀初の完全試合を達成したが、偉業を成し遂げた男は冷静だった。歴史的快挙から一夜明け、自らの口で振り返った105球。そこには大胆さだけではない確かな理由もある。 取材・構成=鶴田成秀 写真=川口洋邦 打者封じはバッテリーの共同作業だ。最速164キロに150キロに迫るフォーク。投じるボールの凄(すご)みは、試合を見れば分かることだが、“完全試合”は配球の組み立てがあってこそ。動じることなく攻めのスタイルを貫いた105球には、捕手・松川虎生の存在もある。 ──記録ラッシュの快投から一夜明けました。興奮して寝つきも悪かったのでは。 佐々木 いつもよりは寝つけなかったですけど(笑)。でも、小学生から野球を始めて、完全試合も初めてのことだったので、実感はあんまりなかったんです。ただ、1日経ってようやく少しずつ実感が湧いてきました。 ──初めての完全試合。新たな境地と言えば大げさかもしれませんが、投球面で新たに見えたものはありましたか。 佐々木 どうだろう……。う~ん、特にないですけど、プロでできたということが素直にうれしいなと思います。今回の記録はなくなるものではないので。そういうところでは良かったと思います。 ──連続13者連続奪三振に1試合19奪三振、そして完全試合。3つの記録をつくった試合でしたが。 佐々木 やっぱり一番うれしいのは完全試合です。3つの記録の中で、勝敗に直接かかわるのが、完全試合なので。チームが勝てたから、素直に喜べることだと思うので。 ──そもそも、連続奪三振の日本記録である9者連続(1958年の東映・土橋正幸ほか)は知っていたのでしょうか。 佐々木 いや、知らなかったんですよね。言い方が悪いかもしれませんが・・・
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週刊ベースボール