子どもの人生は親のもの…? 「子どもを人生の生きがい」にすることで起こる親子の悲劇
---------- 近年、「発達障害」といわれる子どもが急激に増えています。「発達障害」の言葉が広まった結果、大人が理解できない子、大人の期待どおりに育っていない子、扱いづらい子などが、「発達障害」ではないかと疑われていないでしょうか。「発達障害のような症状」が現れる原因はどこにあるか、今の困りごとへはどう対処するか、どう育てていけばよいか、をくわしく解説した『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』から、いくつかの章をご紹介します。 【前編】グレーゾーンは一生続くわけではない。生活習慣の見直しが症状をグッと抑える 前編記事<グレーゾーンは一生続くわけではない。生活習慣の見直しが症状をグッと抑える> ----------
子どもの人生を生きがいにしない
子育てには目配り・気配りが欠かせませんが、度が過ぎると子どもの人生と自分の人生が一体化してきて、自分の生きがいのようになってしまう人がいます。 子どもの人生を自分の生きがいにしていると、子どもが巣立ったあと「空の巣症候群」といわれるように心身に不調をきたしたり、巣立ちじたいを受け入れることができなくなったりします。子どもが、親のもとから離れられなくなることもあります。 なかには、自分より高い学歴を、高い収入を、と願って幼児期から教育を受けさせる人がいますが、それは自分の人生のリベンジなのかもしれません。自分がかなえられなかった夢を子どもに託すのは、子どもにとっては重い負担です。 子どもの人生は子どものもので、親のものではありません。自分の人生を取り戻し、自分自身の楽しみや生きがいをもちましょう。 ■徐々に手を放す 成長につれて心配を信頼に変えていくように、子どもに任せる部分を大きくし、徐々に手を放していきましょう。子どもの人生を親の人生と分けていくことが大切です。
子どもの人生は親のもの?
自分では気づいていないかもしれませんが、下記の3つは子どもの人生を自分の生きがいにしている例です。意識を変えて、自分の人生はどこにあるか、見直してみましょう。 ■自分にできなかったから…… 自分が合格できなかった高校や大学を受験させ、自分より高学歴をつけさせようとする。あるいは早期教育をして、将来自分より高収入が得られるようにする ▶合格が目標になっていて、入学したら意欲を失う子もいる 子どものうちは神童といわれても、途中で挫折する子もいる ■自分と同じようにお金をかけたい お金をかければよい人生がおくれるはずと思い、習い事などに惜しみなくお金をかける。自分がそのように育てられた場合には、金銭感覚がずれている ▶子どもの金銭感覚がマヒして、お金はわいてくるものと思う 働く意味が感じられなくなる子どももいる ■子どものことしか考えられない 子どもの世話、勉強、成績、将来のことなど、子ども以外のことが目に入らなくなっている。自分自身の楽しみや趣味はないという人は要注意 ▶親子で依存し合う関係になり、人生が一体化する 大きな負担となり、精神疾患の発症や、家庭内暴力に至る子もいる
成田 奈緒子(発達脳科学者)