「忘れられた」中国と「開いた」韓国との力の差、失われた30年の間に「躍進を遂げた」日本【日本サッカーと「アジア最強国」中国は、なぜ立場が逆転したのか】(3)
■「失われた30年」の間に大躍進
20世紀末には「世界第2の経済大国」と言われた日本だったが、現在のGDPは世界第4位。いずれ、インドに抜かれて第5位に転落することも間違いない。「失われた30年」と言われるゆえんである。 だが、スポーツ界ではこの30年間に日本は大躍進を遂げた。 1995年に野茂英雄がロサンゼルス・ドジャースに入団して活躍したが、当時は「打者では日本人は成功しない」と思われていた。だが、その後イチローや松井秀喜がバッターとしても成功。そして今では、大谷翔平が各種のタイトルを独占。世界一のベースボール・プレーヤーの1人となっている。 サッカーでも、ブラジル帰りの三浦知良(カズ)がイタリア・セリエAのジェノアに移籍したのが1994年。中田英寿がペルージャで旋風を巻き起こしたのが1998年だった。 だが、今ではヨーロッパのトップリーグで活躍する日本人選手は数知れず、UEFAチャンピオンズリーグでも何人もの選手がプレーするようになった。 最近の30年間の日本のスポーツ界は、「失われた30年」どころか、まさに「躍進の30年間」だった。 バスケットボールでも、今では複数の選手がNBAでプレーしているし、プロ化が成功した競技では日本の躍進ぶりは目を見張る。いわゆるアマチュア・スポーツでも、オリンピックでのメダル数は大会毎に右肩上がりだ。 こうして、アジア相手の試合では楽しめない時代になってしまったのである。アジア最終予選では、寂しいことに、もはや緊迫感はいっさい味わえないのである。
後藤健生
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