《ブラジル》軍警作戦の密着動画で波紋「犯罪者殺したら葉巻とビールで祝う」
サンパウロ市北部のファヴェーラ(貧民街)での軍警作戦に北米の日系ユーチューバーを同行させ、撮影を許可したとして5人の警察官が停職処分となった。映像に登場する1人の巡査部長は、「犯罪者を殺したら葉巻とビールで祝う」と発言する様子が収められており、大きな波紋を呼んでいる。警察当局は同映像が規則違反と判断し、内部調査を進めていると26日付G1サイトが報じた。 問題の動画は、ユーチューバーのゲン・キムラ氏(27歳)が4月21日に制作した「ブラジルで最も危険なスラムの内部」と題された約40分のドキュメンタリーで、軍警の仕事ぶりを密着取材したもの。今月2日に公開されて以来、再生回数は169万回を記録した。 ゲン・キムラ氏の「ブラジルで最も危険なスラムの内部」動画はこちら
映像では許可されていない機材使用、訓練を受けていない民間人の警察車両への同乗、司法令状なしの住居への立ち入りなど複数の違反行為が確認された。動画では、警察の防弾チョッキを着用し、銃を持ってポーズをとるキムラ氏の様子や、警察部隊の内部から日常業務で使用する銃器類を見せる場面もある。 SNSやマスコミから特に反響を呼んだのが、オリヴェイラ巡査部長がカメラに向かって「賊をやっつけたら葉巻とビールで祝うんだ」と英語で発言した場面だ。 軍警は撮影を許可したものの、その映像内容が警察本部によって認証されていなかったため、不正と見なされた。警察は報道チームに対して撮影自体は禁止していないものの、特定の手順を遵守するよう求めており、映像の撮影計画や使用する車両、場所などを事前に届けることを条件としている。 保安局(SSP)は警察官の行動を調査し、映像での発言が州治安部隊の慣行と合致しないと述べた。映像で示された一連の出来事、特に民間人が警察活動に関与している場面は許可されておらず、調査の対象となると説明。映像を確認した直後に警察本部に説明を求め、該当する警察官に説明を求め、必要な措置を講じるための内部調査を開始したと強調した。 SSPは「サンパウロ市警察は、法の範囲内で行動するよう指導され、継続的に訓練を受けている。行き過ぎや逸脱は許されず、すべてのケースは厳正に処罰される。内部規則では、この映像の一連の出来事や状況は許可されていない」と声明で述べた。 警察オンブズマンによれば、検察庁も呼ばれ、警察官側の行政上の不正の可能性をチェックし、監視するよう要請されたという。