舞台用語「トリ」←由来は“落語界の独特なシステム”から 意外と知らない反対語「サラ」の意味は?
文化庁は先月、2023年度「国語に関する世論調査」の結果を公表。なかには、「動物などがふんわりとやわらかそう」という意味を持つ「もふもふ」がランクインするなど、話題を集めた。 【関連】「了解→りょ」はもう古い いまどきの10代は「了解」をこう表現するらしいです 言葉は、意外なものから誕生することがある。現在、当たり前に使われている⾔葉はいつ誕生したのだろうか。 関西を中心に活躍するフリーアナウンサー・清水健と、落語家・桂米舞がパーソナリティーを務めるラジオ番組で、舞台用語「トリ」の由来などについて解説した。 「トリ」とは「出番が最後の人」を指し、落語の世界から誕生した言葉。昔の落語界では、「寄席の最後の出演者である“一番上の落語家”が取り分を決める」という独自のシステムがあり、最後の出番の人がその日の寄席の収益をすべて回収し分配を行っていた。このことから、「取り分を決める最後の人」を略して「トリ」と呼ばれるようになったといわれている。 桂米團治の弟子・桂米舞は、「うちのトリは師匠が務めています」と話す。「当時のシステムについてどう思うのか」という質問には、「“上の言うことは絶対”という世界なので、納得です」と回答し、落語家としての姿勢が垣間見えた。 そのうえで、「トリの存在は、大先輩であり憧れの人。スイッチが入る瞬間がわかるので、接するのに緊張する」と弟子ならではのエピソードを明かした。 最後を飾る「トリ」がいる一方で、最初の出番の人を「サラ」と呼ぶことがある。「サラ」は江戸落語のみで使われる言葉。はじめに出番がくるのは新人が多いため、「まっさら」の意味から「サラ」といわれるようになった。ちなみに、上方落語では「サラ」ではなく「前座」と呼ぶのが一般的なのだとか。 この話を聞いた清水は、「テレビの世界でも『前座』という言葉を使っていました。本番がはじまる前の、拍手の練習や客席をあたためることを言っていました」とコメント。米舞によると、上方落語における前座も似たような役割を担うそうで、「大きくは同じ意味」だと解説した。 基本的に、前座を務める米舞。前座をするうえで気をつけていることを尋ねられると、「元気よく、お客様に大きな声でおしゃべりすることを心がけている」とハキハキ答えた。 X(旧:Twitter)では、そんな米舞について「ドナリがかわいい!」「『そうですね~』という相槌が多い」「(リスナーが)授業参観状態」などのコメントがみられ、多くの人があたたかく米舞を見守っていることがわかった。 ※ラジオ関西『Clip木曜日』より
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