妊娠中に避けるべきスキンケア成分があった…米皮膚科医が指南
欧米では、「妊娠の輝き(pregnancy glow)」という言葉がある。妊娠中期によく見られる現象で、頬がピンク色になり、肌の輝きや潤いが増して、肌の調子が絶好調になる時期を指している。でも、妊娠中に肌に起こる変化は、必ずしも良いことばかりではない。その変化には個人差があるものの、皮脂の分泌が増えるため、ニキビが増えたり、頬やおでこにシミや褐色の斑点(「肝斑」として知られている)が現れることもしばしば。肌の乾燥に悩まされる女性も少なくない。 【写真】健康な妊娠生活を送るための「3ステップ」 こうした変化の背後には何が起きているのだろう? 「妊娠によるホルモンの変動や血液量の増加により、肌は常に変化し、それに伴ってさまざまな反応が現れます」と説明するのは、皮膚科クリニック「MONA Dermatology」の皮膚科専門医、アレクサンドラ・ボウルズ医師。だからこそ、妊娠中はこれまで以上に適切なスキンケアが重要になるというわけ。 とは言っても、妊娠中は混乱がつきもの。 スキンケア成分の中には、胎児に影響を与える恐れがあるため、妊娠中の使用が推奨されないものがあることもよく知られている。ただ、どれを避ければいいかがイマイチ分かりにくい。そこで今回は、妊娠中に避けるべきスキンケア成分を米専門医がアドバイス。 ※この記事はアメリカ版ウィメンズヘルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。
妊娠中に避けるべきスキンケア成分
「私たちに推奨できることはもちろんありますが、特定の成分が妊婦や胎児に与える影響を調査した臨床研究はあまり多くありません」とボウルズ医師。だからこそ、これらの製品や成分の使用は避けて、用心に用心を重ねることが重要なんだそう。 ・レチノイド スキンケアクリニック「Meder Beauty」の創設者であり皮膚科医のティーナ・メダー医学博士が言うには、妊娠中のレチノールの使用は胎児レチノイド症候群(FRS)と関連している。 ・サリチル酸 妊娠中は、ニキビケアにこの成分の使用を控えたほうがいいかもしれない。「低濃度であれば安全な場合もありますが、ピーリングや強力な治療法に含まれる高濃度のものは全身に吸収される可能性があり、特に妊娠初期にはリスクを伴います」とシャンバン医学博士は説明する。 ・ケミカルの日焼け止め どんな日焼け止めも塗るに越したことはない、とよく言われるけれど、妊娠中に限ってはそうとは限らない。成分表示をしっかりチェックして、ケミカル(化学的)ではなく、ミネラル(物理的)の日焼け止めを選ぶようにしよう。 ・過酸化ベンゾイル メダー医学博士によると、妊娠中の患者を対象にしたニキビと戦う成分、過酸化ベンゾイルに関する研究は存在していないため、肌への刺激も強いことから、妊娠中はこの成分の使用を避けるのが賢明とのこと。 ・ハイドロキノン 「この美白成分は皮膚から体内に吸収され、胎児の発達にリスクをもたらす恐れがあります。妊娠中は使用を控えたほうがいいでしょう」とシャムバン医学博士。 ・エッセンシャルオイル 妊娠中はアロマオイルのマッサージも控えるべき。メダー医師によれば、エッセンシャルオイルは種類によって性質が異なり、揮発性が高く、吸収力が高い上に、個々の研究が不足しているという。 ・染毛剤 「妊娠中の染毛剤の使用にはいくつかの懸念がありますが、適切な予防策を講じてリサーチを徹底していれば、基本的には安全に使用することができます」とボウルズ医師。 今愛用中の成分が上記のリストに含まれていなくても、安心して使えるとは限らないよう。「実際には妊娠中に使用できる安全な成分は非常に少なく、避けるべき成分の方が圧倒的に多いのです。特定のスキンケア製品や薬、食品について懸念や疑問がある場合は、必ず産婦人科医に相談するようにしてください」とボウルズ医師はアドバイスしている。 ボトックスやその他の注射治療、レーザー治療に関しても、妊娠を希望している人や妊娠中の人は、スキンケアに取り入れるべきでないことを十分に理解しておく必要がある。「ボトックスやフィラーには、胎児に影響を及ぼす恐れのある毒素が含まれているため、これらはすべて使用を避けることをお勧めします」とボウルズ医師。「化学ピーリングも危険で、強力な酸を使用するため、肌に強い刺激を与え、最終的には体内に吸収される可能性があります。また、レーザー治療は色素沈着や肌の敏感さを引き起こすことがあり、妊娠中の安全性について十分な研究が行われていないため、一般的には推奨されていません。」