ビルバオ、40年ぶり通算24度目の国王杯優勝! 世界で“唯一無二”のクラブが示した“純血表明”
6日、アレックス・ベレンゲルの右足から放たれたボールが、ゴール左下隅を揺らした。アスレティック・ビルバオにとって、40年ぶり通算24度目(前身の大会を含めれば25度目)のコパ・デル・レイ(国王杯)優勝が決まった瞬間だ。 『ユニーク・イン・ザ・ワールド』。ビルバオニスタが陣取るスタンドに掲げられた横断幕には、そう書かれている。6日にセビリアの『ラ・カルトゥーハ』で行われた国王杯決勝戦でマジョルカと対戦し、1-1のまま突入したPK戦を4-2で制したアスレティック・ビルバオ。1983-84シーズンを最後に遠ざかっていた、主要大会(国内リーグ、国内カップ戦、欧州カップ戦)でのタイトルとなった。その間に下されたボスマン判決が、フットボール界のマネーゲーム化を急速に促した中で、バスクに縁のある選手だけで戦うという“純血主義”を貫き続けたアスレティック・ビルバオは、まさに“世界で唯一無二”のクラブだ。 本拠地『サン・マメス』が“ラ・カテドラル(大聖堂)”の異名を取るように、もはやフットボールクラブの域を超越し、ひとつの宗教となりつつある。実際に今回、セビリアにまで移動したサポーターは7万人(半数以上がチケットなし)を超えた他、『サン・マメス』で実施されたパブリックビューイングも5万人以上を動員。“時間と距離をクラブとともに旅をする”。バスク地方に対する帰属意識を大切にしてきたからこそ、アスレティック・ビルバオというクラブが、バスク人の生活の一部になっていることを再認識させられた決勝戦となった。 それでは、ついに本懐を遂げた、エルネスト・バルベルデ監督が率いるアスレティック・ビルバオのメンバーを紹介していこう。 [写真]=Getty Images
■2人の守護神
スペイン代表の正守護神であるウナイ・シモンを擁するアスレティック・ビルバオだが、国王杯の全試合でゴールマウスを守ったのは、23歳のフレン・アギレサバラだ。2021年8月にトップチームデビューを果たしたカンテラーノは、ここまでのラ・リーガで通算13試合出場と、あくまでも“第2ゴールキーパー”という立ち位置に。ただ、昨夏に行われたU-21EUROのU-21スペイン代表に選出されるなどその実力は確かで、先の決勝戦でも証明している。120分の戦いで好守を連発し、PK戦ではマジョルカ2人目のコースを完全に読み切ってストップ。優勝の立役者のひとりとなった。 生涯アスレティック・ビルバオ宣言のU・シモンと同様に、アギレサバラもクラブに忠誠を誓っている。今夏に複数のクラブが同選手獲得を検討しているとされる中で、アギレサバラは2025年夏に満了を迎える現行契約の延長に向けた交渉を行なっているとのこと。また、今シーズンの国王杯では出番が得られなかったU・シモンが、同選手のサポート役に徹するなど、両者の関係はまさに“戦友”と呼べるものに。代々、名ゴールキーパーを輩出してきたアスレティック・ビルバオだが、近年はよりハイレベルなポジション争いが繰り広げられている。