「電車アイコン」の人は過激派?穏健派? 批判意見ばかりのSNS、結局愛情と誹謗中傷は表裏一体なのか
批判・論評するのは「自分を守るため」
投影同一視とは、自分の感情や欲望、特性、不安などを他人や外部に投影し、それを自分の一部として認識する心理学や精神分析の概念だ。 自分の内面を他人に映し出し、その反映されたものをあたかも他人が持っている特性だと思い込む過程のことだ。簡単にいうと、自身が受け止めきれない自身の ・嫌な部分 ・認めたくない感情 を、他者に投影することで嫌な自分と向き合うことを回避する、「自分を守るため」の心理を指す。例えば、AがBを一方的に嫌っていたとしても、なぜか 「Bも私(A)のことが嫌い」 とAが思うようになり、さらにBに対して攻撃的な行動をとることなどである。他の例を挙げると、Aは自分の行動が適切でなかったためBに責められるのではと感じた際、 「Bは私を責めている」 と思い、 「B自身にも反省すべき点があるのではないか」 などと考えて、BがAを責めないようコントロールするような言動をとることがあるが、これも投影同一視の影響と考えられる。
支えようとする思いが誹謗中傷につながる
この投影同一視から過度な批判に至るメカニズムはどのようなものか。 例えば、Aがある有名人Bをわが子のように支えたい愛情にも似た思いが根底にあり、「有名人Bは私が支えなければならない」と考えるようになっているとする。するとAはBの成功のために、厳しい批判や助言を行い、Bをコントロールしようとするとなるのだ。 この場合、Aは自分の投稿が誹謗中傷だと思っておらず、「正義感」や相手を操りたい気持ちなどから過度な批判を投稿したと考えられる。 他にも、AはBに対して憧れると同時にねたましい気持ちがあったとする。Aは不安や不快感を低減させるため、Bに 「否定されているような気分になる人もいることがわからないのか、この投稿はあまりにも不適切だ」 など攻撃的な批判と同時に、自身の発言を正当化して不安感を減少させようとするのだ。 この場合、AはBを利用して自分の不安や悪感情を排除したと考えられる。このように、相手をコントロールして不快な感情体験から自分を防衛する投影同一視の働きにより、過度な批判・論評をしてしまうことがある。