日本のSDGsは「動いていない」...蟹江憲史教授の苛立ちと、未来に向けたボトムアップの取り組み
「認証してくれという声が非常に多い」
――「促進する」ということで言えば、企業の取り組みを後押しする「サステナブルビジネス認証制度」(同制度ウェブサイトはこちら)を立ち上げられた。手応えは? 蟹江 我々の(認証を行う上での)キャパがまだ追いついてないために、まだ少数しか認証が済んでいないが、「やってくれ」という声が非常に多い。ありがたいことに、ウェイティングリストにたくさん入っている。 サステナビリティへの流れは強まっていて、例えば(中小企業が)大企業のサプライチェーンに入っていく、あるいはサプライチェーンに留まり続けるために、自社のサステナビリティを証明するものが欲しい、と。特に海外の企業と取引する場合ですね。 B Corp認証(米NPOによるサステナビリティ関連の認証制度)など海外の認証だと、ちょっと日本企業に合わなかったり、対応が難しかったりする。そういう場合に、我々の認証が役に立つと思う。 ――「サステナブルビジネス認証制度」の最初の認証企業には、日本フードエコロジーセンター(神奈川県)が入っている。 蟹江 代表の高橋(巧一)さんは非常に面白い人。ああいう会社がどんどん稼いでくれると、世の中の動きも変わってくるんじゃないか。 アメリカがトランプ政権になろうが、こういう取り組みを続けていけば、長期的にプラスになるはず。これから何が起こるか分からない、また戦争が起こるかもしれない(編集部注:この取材はシリアでアサド政権が崩壊し中東がさらに緊迫化する前だった)が、何が起こるかを恐れていても仕方がないとも思っている。 ――こうしたボトムアップの取り組みが、政治に惑わされないことにもなる。まさに、レジリエンス(強靭性)でもありますね。 蟹江憲史 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、同大学SFC研究所xSDG・ラボ代表)