女性の健康問題を解決に導くブレイクスルー6選、待望の新薬も、発達障害から更年期まで
月経周期と脳、発汗やめまいの「ホットフラッシュ」など、軽視されてきた苦しみの治療に光明
月経から更年期まで、女性の健康に関する問題は軽視されることが多く、研究されることも少なかった。だが、近年の研究が新たにもたらす生物学的な知見により、女性の健康問題に対する正確な診断と、標的を絞った治療が可能になりはじめている。 判定画像:老化の度合いはやはり顔に表れる 以下では、最近の注目すべき研究や進歩をまとめて紹介する。
1. 女児や女性のADHDの特徴は男児や男性とは違う
注意欠如・多動症(ADHD)と診断される女性がこれまでになく増えていることを伝えたナショナル ジオグラフィックの最近の記事によると、科学者たちは長年、ADHDをほとんど男児のみの障害と考えていたという。 では、なぜ最近になってADHDと診断される女性が急増しているのか? そして、この大きな変化の背景には何があるのだろうか? 専門家は、それは女性や女児のADHDの現れ方と関係があるという。ADHDは一般的には多動性を特徴とすると思われているが、片付けが苦手、忘れっぽい、作業に取りかかったり続けたりするのが困難など、不注意を特徴とするタイプもあるのだ。 女児や女性のADHDは不注意型が多く、その特徴は感情あるいは学習上の問題と間違われやすい。「彼女たちは夢想家だとか、いつもぼんやりしているなどと言われがちです」と、米デューク大学女性・女児ADHDセンターの共同センター長であるジュリア・シェクター氏は言う。 男児や男性とは異なる特徴だとしても、「大変なことに変わりはありません。ただ気づかれにくいだけなのです」。その結果、深刻な事態になることもあるという。
2. 月経周期は脳の構造を変える
脳画像研究のうち女性を対象とするものは約0.5%しかない。月経によって女性の脳の構造がどのように変化するのかが今になってようやく分かってきたのは、このような格差があるためだ。 月経周期は女性の脳の構造を変える。最新の研究は、月経周期が感情、記憶、行動、および記憶の伝達効率をつかさどる脳領域を劇的に変化させることを示している。 ただし、これらの研究は、一部の女性が生理中に経験する「感情のジェットコースター」が、こうした脳の変化と関係していることを証明するものではない。しかし専門家たちは、女性はアルツハイマー病やうつ病を発症しやすく、女性を対象とした神経科学研究が急務だと主張する。 ドイツ、マックス・プランク人間認知脳科学研究所の精神科医で神経科学者のユリア・ザッハー氏は、「女性の健康について、脳を重視するべき時が来たのです」と語る。