線状降水帯予測向上へ観測船建造 気象庁、過去2番目に多い補正予算451億円を計上
気象庁は、積乱雲が次々と発生して局地的に大雨をもたらす線状降水帯の予測精度向上を目指し、老朽化した海洋気象観測船「啓風丸」の代船建造に着手するなど観測体制を強化する。令和6年度補正予算に、補正予算として過去2番目に多い約451億円を計上。森隆志長官は18日の記者会見で「啓風丸の更新で海上観測能力を確保、強化できる」と述べた。 気象庁は6年度補正予算に、「啓風丸」の代船建造費を含む海上の水蒸気観測強化に約96億円を計上。他に、次期静止軌道衛星の整備費約206億円▼陸上の水蒸気観測強化約31億円▼レーダーによる監視強化約6億円▼スーパーコンピューターシステムの強化約32億円-などを盛り込んだ。 線状降水帯は水蒸気を多く含む大気の流れを観測して予測できるが、固定観測点のない海上での観測網が最重要課題だ。海洋気象観測船は「啓風丸」と「凌風丸」の2隻体制で凌風丸は今年3月に4代目が就航。現在2代目の啓風丸は就航から24年が経過していた。 一方、気象庁は4年度から気象衛星ひまわり8号の後継機を製作中で、11年度から運用されれば海上を含め観測量が大幅に向上する。また、陸上ではアメダスの残る149地点に湿度計を追加し、全地点で湿度観測体制を整える。 線状降水帯の予測情報を巡っては府県単位で半日程度前から発表する運用を5月から始め、今年は81回出したうちの的中率が9・9%に留まり、想定した25%程度に及ばなかった。森長官は「しっかり検証して技術開発を含め、想定した予測精度に近付けるよう努力したい」と話した。