乗用車とは一線を画すデザインと“味”のあるエンジンの「ジープ・コマンダー・リミテッド」は、クルマは多様だから楽しいと思わせてくれる
昨今のクルマ好きにおけるネオクラシックブーム。根底にあるのは、乗る自分と距離の近いクルマを求める心情。べつの言い方をすれば、操る喜びを感じられる“味”のあるクルマが求められているのではないでしょうか。 【内装デザインなど詳しい画像を見る】 そういう気持ちがわかる、という人には、いまもいくつかお勧めしたいクルマがあります。ここで採り上げる「ジープ・コマンダー・リミテッド」(以下・コマンダー)はそのうちの1台。2022年10月に日本導入されたモデルです。 ジープといえば、代名詞のようにラングラーがよく知られていますが、一方で、レネゲードやグランドチェロキーといったSUVも、街でよく見かけます。コマンダーも乗る価値のある1台といえます。
■乗用車とは一線を画すデザインの3列シート
コマンダーは、全長4770mmのボディに、2780mmのホイールベースという余裕あるサイズ。エンジンは1956cc4気筒ディーゼルで、9段オートマチック変速機の組合せとなっています。もうひとつ、大きな特徴は3列シートの7シーターなのです。 「エクステリアは、フラッグシップモデル、Grand Cherokee Lの系統を引継ぐデザインを採用しています」とは、ジープの輸入元であるステランティスジャパン。ブラックルーフの2トーンの塗り分けにして「プレミアムな雰囲気を演出」しているそうです。 グランドチェロキーは、2965mmのホイールベースに、全長4900mmのボディを載せているので、コマンダーはもうすこし市街地で扱いやすいサイズ。それでも東京では、けっこう迫力があります。 コマンダーに好感が持てるのが、乗用車とは一線を画したようなデザインテイスト。日本未導入の「グランド ワゴニア」からインスピレーションを得ているリアコンビネーションならびにリアバンパーのデザイン。加えて、ジープがこだわる台形のホイールアーチと、高めのグラウンドクリアランスが雰囲気です。
■ドライブしている感じのあるトルクの出かたが気持ちいい
洗練性もちゃんと感じられるんですが、オフロードも得意です。エンジンは最高出力125kW、最大トルク350Nm。とくに最大トルクは1750rpmから2500rpmの間で得られるので、たとえ悪路の登坂でも、SUV的な外観からは意外なほど力強さを感じられるのです。 4輪駆動システムは、負荷によって前輪駆動のみの走行から後輪へもトルクを自動的に配分するオンデマンド型。それだけなく「4WD ロック」と「4WD ロー」というオフロード用モードも用意されています。 冒頭で“味”という話をしました。コマンダーの場合、まずエンジン。 フィアットが開発したこのディーゼルエンジンは2000年代開発のちょい年代モノ。あいにく最近の欧州車のエンジンのようにシュンッと回って、ガソリンエンジンと区別がつきにくい、なんてことはありません。ガラガラッとそれなりに存在感を主張します。 でも、アクセルペダルを踏んでいったときのトルクの出方が、気持ちいいんです。やたらパワフルでなく、かといってもっさりもしていなくて、ドライブしている私の感覚に合います。 もうひとつは車体の動き。モノコックボディとはいえ、クロスカントリー性能もそれなりに重視しているので、足まわりは硬めで乗っていると路面からの突き上げをしっかり感じます。 ハンドルを切ったときの車体の動きは良好で、アクセルペダルの踏み込みにきちんと反応してくれるエンジンとの相性も良好。これらのダイレクトな感覚が、ドライブしているときの楽しさにつながっています。このクルマ独自の味といってもいいでしょう。