【キーマンインタビュー】巨人・吉川尚輝 自分らしく「僕にしか追いつくことができないボールを捕ることが僕の価値――」
振り切る強さ
巨人・吉川尚輝
新たに主将となった岡本和真とともに指揮官から副主将に指名された。「奪回」を掲げるチームにあって、新たなチームリーダーの1人として、いまだ発展途上の成長を続ける一選手として、2023年シーズンの巻き返しのためのカギとなる男であることは間違いない。 取材・構成=杉浦多夢 写真=高塩隆、桜井ひとし ケガに泣かされ続けてポテンシャルをフルに発揮できなかった日々はもう過去のもの。3月16日のソフトバンクとのオープン戦(PayPayドーム)では一塁走者としてけん制球で帰塁した際、ボールが左手に直撃するアクシデントに見舞われたが、精密検査では異常なし。原辰徳監督に「強くなってるよ!」と称えられた。昨季は2年ぶり2度目の規定打席に到達し、132試合出場、143安打、16盗塁、打率.277とあらゆる数字でキャリアハイをマークしたが、「もっといい数字を目指していきたい」と貪欲だ。この男のさらなる飛躍こそが、そのままチームにとってのプラスαとなっていく。 ――いよいよ2023年シーズンの開幕が目前に迫ってきました。チームの雰囲気はいかがですか。 吉川 雰囲気はすごくいいと思いますね。宮崎キャンプから沖縄キャンプまで、みんないい状態で過ごすことができましたし、いい流れでオープン戦に入って戦うことができていたと思います。あとはWBCに参加していた選手たちが戻ってきたので、開幕に向けてまたグッと盛り上がっていってくれればいいなと思います。 ――昨季は5年ぶりのBクラスと悔しいシーズンでした。 吉川 開幕直後はチームの状態も良かったんですけど、後半戦は少し失速してしまいました。連敗が続いたときに、そこからなかなか抜け出せずにズルズル行ってしまったところがありましたね。もちろん選手たちは誰もが必死にやっていましたし、全部勝つということは無理なのですが、連敗している中で一つ勝つことの難しさを味わったのはいい経験になりました。昨季の経験を生かしながら、今季は戦っていけたらなと思います。 ――一方で個人としてはキャリアハイと言える成績だったと思います。 吉川 確かにキャリアハイなんですけど、一つひとつの数字だけを見たら、とても満足できるものではないですね。もちろんチームが勝つということが前提ですが、その上で結果的にもっといい数字を残したいと思いますし、すべての面で数字が良くなれば、それはチームに貢献できていることにもなるので、もっといい数字を目指してやっていきたいです。 ――オフからキャンプにかけて、自分の中で一番フォーカスしてきたのはどんな部分でしょうか。 吉川 これは毎年のことなのですが、まずはケガをしないための体づくりですね。何か新しいものを取り入れたわけではないですけど、変わらず取り組んでいることです。 ――昨年も死球のアクシデントがあり、春先は好調だった打撃も後半にかけて少し失速していってしまいました。 吉川 それに関しては・・・
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週刊ベースボール